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わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.97

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

家庭で暮らす犬猫の居場所の最小空間

家庭で暮らす犬猫の居場所の最小空間

95回96回で、犬や猫の日頃の「隠れ家」となる「ハウス」を、防災対策の一つである「自宅避難」に向けた空間となる工夫についてお話してきました。「隠れ家」は箱状の潜り込める寝床で、それを囲う「サークル」や「ケージ」が個室のような「居場所」であるとご案内しています。犬の「居場所」となる最小空間をつくれるサークルの構成について、第3回「躾のしやすい住環境をつくるポイント」をはじめに、第49回50回の「ハウスが隠れ家であるために」などで、何度かお話してきました。猫の場合も、犬と同じように小さめの空間が「居場所」として確保されていることが防災・減災対策として理想です。そこで、犬と猫の「居場所」の最小空間をつくれる「サークル」と「ケージ」について、改めて必要なアイテムを整理してみましょう。

居場所の基本セット

犬も猫もこの基本セットの空間は、「隠れ家」という犬猫の安心のためだけでなく、安全のために行う「居場所の制限」でも利用されます。つまり、利用するタイミングは、「留守番」「ヒトの就寝時」「来客時」で、ヒトが犬猫の安全を見ていてあげられない場合です。

犬も猫も場合、居場所の基本セット(最小の空間構成)は「寝床=隠れ家」「食事スペース」「トイレスペース」「動き回るスペース」が必要です。

犬の場合は、一般的には市販の既製品サークルを使われていますね。常時ヒトが側に居られる場合や、部屋を大きなサークルのように使える場合など、寝床とトイレを別のサークルに分ける、と言う方法もあります。(これについては、別の回に分けてお話します)

猫の場合は、「3段ケージ」というアイテムが既製品で利用できます。「3段ケージ」は猫の最小の生活空間が確保できるため、保護シェルターで個室としても活用されていて、「仔猫」の時期や新しく猫を迎え入れた時、また新しい家に引っ越したりした場合に、安全の観点から利用が推奨されます。保護猫を家族に迎え入れる場合、既製品ですぐに安全な空間確保ができることから、保護団体によってはサークルを用意することが譲渡条件になっている場合もあるようです。

犬の居場所の基本セット_サークル利用
猫の居場所の基本ユニット_3段
ケージ利用

猫の居場所に3段ケージを利用した場合の配慮事項

3段ケージは、基本的な空間構成ができているとはいっても、市販の商品は折りたたみの簡易な造りが多いものです。災害対応するには、地震の際の転倒防止をする必要があります。移動用の車輪がついているタイプはロックして動かないようにし、できるだけ2面が壁に接するようにして、上面と底面、できれば中段でも壁固定する必要があります。

また、猫にとっての「隠れ家」として日常でも猫に楽しく活用してもらうには、上面や側面にカバーをかけるなど、目隠しの工夫を追加で行うことをお薦めします。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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