犬の居場所の適切な大きさは、ヒトの生活スタイルが影響する

第97回では、犬の居場所の必要な基本セットは「寝床＝隠れ家」「食事スペース」「トイレスペース」「動き回るスペース」と整理しました。市販の既製品サークルが利用されることが多いですが、どのような大きさ（広さ）にするかは、犬のサイズだけでなく、ヒトの生活スタイルにも左右されてきます。今回は、その条件について考えてみましょう。

この場所は、安全で安心できる犬の専用空間として、一般的にはリビングといった家族の空間に配置されるのですが、「居場所の制限」時にも使われるという、もう一つの大切な側面があります。トイレといった犬が家庭内のルールを覚える時期や、来客などで手が離せない時、また、犬の独りでのお留守番といった時に、事故防止のためにある程度行動の制限が必要なのです。

犬の居場所の構成をトイレトレーニングの方法から考える

大きさを左右する条件の大きくは、犬が日常でどのぐらいの時間独りで過ごす必要があるのかです。お留守番が４時間以上となるのであれば、「動き回るスペース」を広くとってあげる必要があります。また、「トイレトレーニング」の方法によっては、生活空間とトイレ空間のサークルを分けるスタイルもあります。

犬の「トイレトレーニング」とは、子犬などで、その部屋のルールを犬がまだ覚えていない時期に行われ、正しい排泄の場所を覚える学習です。犬は、寝る場所や食事をする場所が濡れて汚れているのを避ける性質があり、ある程度限定された空間で過ごさせると、寝床と食事スペースから一番離れた場所を選んで排泄するようになります。そこで、サークルで囲われた居場所が効率的なのです。その囲われた居場所の中で、一番「土」や「草地」に近い足触りのトイレシーツが、「排泄するのに最高の場所」と犬に覚えてもらいやすくなります。

生活空間とトイレ空間を分けるスタイル

寝床や動き回る空間と、トイレシーツが敷き込まれたトイレ空間が分かれていると、より排泄の学習は早くなります。つねにヒトが側に居られて、いつも気を配っていてあげられる場合に限られますが、一つの部屋を大きなサークルのように使える場合などは、寝床のクレーﾄの横に、トイレシーツを敷き込んだサークルを置くなどがあります。この場合、犬が排泄したくなったタイミングでトイレスペース内にヒトが抱え上げて入れてあげなくてはならないので、犬の寝起きのタイミングや、犬が床を嗅ぎながらくるくる回り出すなどの排泄の前兆行動をヒトが把握する必要があります。

飼い主さんの日常が、4時間以上外出することが多い、または、常時一緒にいられても、ヒトは作業などで犬を見てあげられないという条件があれば、サークルの中にトイレを配置するタイプの方が安心でしょう。少し大きめになりますが、サークル内を生活空間とトイレ空間と分けた市販品もあって、便利です。