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  3. 第105回 猫のために必要な空間~半屋外空間のすすめ

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.105

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

犬と楽しむ半屋外空間
~縁側のすすめ~

窓周りの快適性を上げるために、縁側の活用について[第37回:庭先からも窓辺を快適に]でおすすめしました。奥行きを深くするとちょっとした半屋外空間とすることもできます。室内の延長となる半屋外空間は、猫だけでなく犬にとっても工夫すると快適な場所です。お庭が広くとれると、犬のためには庭での工夫を考えますが、縁側の延長となる半屋外空間を活用することも考えてみてはいかがでしょうか。

縁側という半屋外空間

日本の昔からの家屋の「縁側」という空間は、室内と外部に面した窓との間に設けた廊下のような部分です。部屋の前に奥行きの深い庇を作ることになり、夏場の強い日差しを直接室内の床に照りつけることを防いでいました。気候のいい時には室内の戸を開け放し、室内のつづき間として使えます。和風な細長いインナ-バルコニーのようなものですね。この半屋外空間は、雨の日でも濡れずに外気浴ができたり、暑い夏では縁側の窓を開け放して、風を通して涼をとれるなどの特徴があります。

また、ご近所などの顔見知りの方とは、室内に上がらずに庭先の縁側を使って交流するなど、日差しや風などの調整だけでなく社会活動という点でも、室外と室内の緩衝空間として機能することができる空間です。

犬にとっての客間の機能にも

犬にとっても、自宅というテリトリーを取り巻く外部との接点であり、外部環境と慣れるための緩衝空間としても機能します。縁側を屋内とせず(サッシなどなく、奥行きの深い屋根だけ)外気に開放された空間であっても可能です。

来訪者に向けた外部環境の一つと考えれば、例えば、来客を犬にも受け入れやすくするための前室として使うこともできます。来客がお庭からのアクセスが可能であれば、この緩衝空間で来客は犬と顔合わせし、人の来客が犬に対しても来客になってから、自宅内に迎え入れるという運用の仕方です。前室の縁側は、犬にとっての「客間」になると言えば分かりやすいでしょうか。

緩衝空間が外気に開放された空間(ほぼ屋外)であれば、リビングのようなイスやソファーをセットして、飼い主さんもアウトドアリビングとして犬との時間を楽しむ事もできます。

お庭に余裕があって、プライベートドッグランなどを計画するのであれば、窓先の空間を縁側のように庇を深く伸ばし、犬と楽しむ半屋外空間として検討してみてはいかがでしょう。

お庭との緩衝空間となる半屋外空間テラス

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

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