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  3. 第106回 犬と楽しむ半屋外空間~東屋のすすめ~

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.106

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

犬と楽しむ半屋外空間
~東屋のすすめ~

縁側という半屋外空間を、犬のための客間にしてはどうかという提案を [第105回:犬と楽しむ半屋外空間] でいたしました。せっかく窓から外へと出て話を広げましたので、お庭も使った楽しみ方について、もう少し話を進めてみましょう。
お庭に少し余裕があって、プライベートドッグランをつくるということもありますね。お家本体から離れた場所に、家庭内の非日常をつくれる「東屋(あずまや)」という小さい空間をつくってみてはいかがでしょうか。

東屋という離れの空間

「東屋」は、公園や庭園といった屋外空間で、柱と梁によって支えられた開放的な屋根が特徴の建物です。日本庭園では「東屋」、洋風庭園では「パーゴラ」と呼ばれていたりして、主に休憩や景色を楽しむために設けられています。広い公園において、散策で疲れたときに一休み場所として使われています。
建物といっても四方が開かれた構造になっているために、風通しが良く開放感があります。東屋はお庭のモニュメントとしても楽しめますが、その開放感から自然に溶け込む工夫が人気です。つる性の植物には柱梁が支柱とできるので、洋風庭園ではバラなどの植物などを這わせて楽しまれています。日本では屋根のない構造を生かし、藤を這わせて天井をつくる「藤棚」が代表的でしょう。「へちま棚」や「ブドウ棚」「ゴーヤー棚」といったものなら、気軽に楽しめそうですね。植物を使ったものでは夏場はグリーンカーテンとなりますので、強い日差しの天候の厳しい時期も、犬をお庭に出して遊ばせてあげやすくなります。

離れの空間でのアウトドアリビングで非日常を楽しむ

縁側を使ったアウトドアリビングは室内のリビングの続き間として、「日常」の延長でしたが、「東屋」でのアウトドアリビングは、日常の生活空間から少し離れた位置にあるため、「非日常」を楽しむ事ができます。強い日差しを遮るだけでなく、小雨程度ならこの天井を覆った植物が雨を遮ってくれます。お茶のセットを用意して、犬と一緒に風や雨の香りを楽しめますし、テントを張って自宅内キャンプもお薦めです。
ここで建築的に注意が必要なのは、柱梁といったフレームだけでなく、屋根があれば建築物として扱われます。都市計画では「建ぺい率」といって、地域ごとに敷地に対して建築物をつくれる面積割合が決まっています。そのため、東屋に屋根をかける場合はこの許容された面積内でつくりましょう。

東屋を利用した犬とのアウトドアリビング

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

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