1. 犬家猫館.com
  2. わんだふるな住まいの知識
  3. 第114回 ペットドアを猫の好きな小窓でデザインする

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.114

犬や猫と快適に暮らすためのインテリア

ペットドアを猫の好きな小窓でデザインする

猫が部屋の間を自由に出入りするための小窓、いわゆる「ペットドア-猫くぐり戸」ですが、万有引力を発見したアイザック・ニュートンが考案した、という説があります。研究に没頭する彼のもとで、飼い猫が出入りのたびに扉を開けてほしいと鳴くので、扉の下に猫のための小さな穴を開けた、というものです。実話かどうかは諸説あり伝説の域を出ませんが、天才科学者も愛猫家であったと思うと、親しみが湧きますね。この「猫くぐり戸」、単なる通路というだけではありません。猫にとっては「くぐる」こと自体が、喜びでもあるのです。

「くぐる」と「うかがい見る」は猫の本能

猫はもともと、茂みや岩の隙間を縫って獲物に近づくハンターです。体がすっぽり収まる開口部をくぐり抜ける動きは、狩猟本能に根ざした行動といえます。さらに猫には、安全な場所から周囲の様子をうかがいたいという強い欲求もあります。壁の小窓から顔だけ出して、じっとこちらをうかがい見ているというのは、——猫と暮らす方なら、覚えのある光景ではないでしょうか。

壁の小窓は、くぐり戸であり、見張り台であり、額縁

そこでお薦めしたいのが、部屋を仕切る壁に開ける猫のための小窓です。 第41回 でご紹介した「ペット用くぐり戸」は人が使う扉や壁の足元に設けるものでしたが、こちらは壁のさまざまな高さに設ける、猫の通り道と居場所を兼ねた開口です。

キャットステップと組み合わせて壁の途中に設ければ、くぐり戸であると同時に観察台になります。飾り棚を兼ねたボックスと組み合わせれば、猫が使わないときも壁の表情として愉しめ、猫がひょっこり顔を出せばその瞬間、壁は一枚の絵になります。

キャットステップと組み合わせた猫くぐり戸
キャットステップと組み合わせた猫くぐり戸

一方、人が使う扉に開口を設けると、猫がくぐっている最中に人が扉を動かしてしまい、思わぬ事故につながることがあります。壁の小窓なら、開口部そのものが動きません。人の出入りと猫の通り道を切り離せることが、扉ではなく壁に開ける一番の利点です。

「開き」や「引戸」のアレンジで、暮らしに合わせる

この小窓、開けっ放しの穴にしないのがポイントです。

写真のように、ガラスを入れた小さな開き戸を付ければ、閉めても猫は向こうの様子をうかがい見ることができます。また、壁に沿ってスライドする引戸にすると、開けたときに扉が場所を取らず、すっきりと納まります。

開き戸を付けた猫くぐり戸
開き戸を付けた猫くぐり戸
引戸をつけた猫くぐり戸
引戸をつけた猫くぐり戸

開閉できると、来客時や掃除の間、冷暖房の効率を上げたいとき、あるいは猫の行動範囲を一時的に制限したいときに、閉めて管理ができます。スイング式のフラップを嫌がる猫も少なくありませんが、開きや引戸なら人が開閉を管理するので、猫に負担をかけません。賢い猫は自分で開けてしまうこともあるので、錠付きにしておくと安心です。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

  • 「犬・猫の気持ちで住まいの工夫」増補改訂版

    単なるペットのトラブル対策に終わらないしつけやトレーニングも踏まえながらのアドバイスが満載。かわいいイラストも◎。改訂版では、室内環境の意識が高まっている猫の情報と、東日本大震災で課題がみえたペット防災対策が増えました。

    彰国社刊 定価(本体 1,800円+税)

  • 「ねこと暮らす家づくり」

    猫の「あったらいいニャ~」に応えるための、賃貸やマンションでもチャレンジできる工夫を案内しています。

    ワニブックス刊 定価(本体 1,300円+税)