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ペットと暮らす住まいのポイントを
ケーススタディでご紹介します。no.85
犬や猫と快適に暮らすためのインテリア
猫が人の家の中で楽しく過ごせる環境整備や工夫で、環境アメニティとしての「猫アスレチック(棚やステップで繋げた、運動するための猫ウオークと、その途中にある猫の留まり場所など)」について、「人と関わるために猫に必要な高さに」などを提案してきました。第53回の「猫が楽しく人と関わる空間」では、猫の目線と距離感について触れています。今回は、もう少し踏み込んで人と猫の視線が触れ合いへの影響があるかについて考えてみましょう。
お部屋の中でも、猫が上下運動できるようにと、棚やステップを壁に取り付けたり、市販のキャットタワーをおいて見たりといった工夫をする時、どのようなことを基準にその場所を決めているでしょうか。壁などにスペースがあるかどうかといった物理的な条件の他には、多くの方が、「あそこを猫が歩いていると可愛いだろう」というように、「人が猫を見る」という観点から計画しているのではないでしょうか。だって、可愛いウチの猫の様子を沢山みたいですからね。ただ、あまりジロジロと人が見るような状況は、猫にとってはあまり嬉しくないようです。
人の視線が猫に与える影響について調査した、最近の研究※があります。その調査によると、親しいかどうか、また距離が近いがどうかに関係なく、人が猫を見つめると、猫は人を見る回数も時間も減ったそうです。つまり、大好きな家族であっても、ジロジロ見られてしまうと、目をそらしたくなってしまうと言うことです。人が猫に好かれるためには、猫に人をじっくりと観察してもらうのが早道だと私は考えています。空間設計において、人が猫を見ることを優先して猫の通路や居場所を計画してしまうと、この「猫がじっくり人を観察する」機会を阻害してしまうことに繋がります。猫アスレチックとは、単に「猫には上下運動する環境が必要だから」といった必要性だけでなく、「猫に家を楽しんでもらいながら、人と猫の絆を深める」という、人にとっての最大目的があるはずです。しかし、猫が人を安心して楽しめないのでは、猫アスレチックの実力が揮出できません。
そこで、「猫をどう見るか」ではなく、「猫にどう見られるか」という観点で、猫アスレチックを計画することをお勧めしています。
具体的には、リビングならば、家族が集まっているソファーセットを、猫ウォークから楽しく見られるようにします。家族の団らんとなる場所を、「その背面や側面を少し高い場所から見下ろす」ことができる。そして、その通路の一部には、ノンビリ寝そべって見られる、ベッドが置けるぐらいの「留まり場所」を確保する。そこは、人の正面ではないので、人が猫を見るときには振り向くなど、わざわざ顔を向けないとなりませんが、猫にとってはその方が都合よさそうなのです。人が少し苦手とか、臆病な性格の猫でも、そんな人との視線の関係についても配慮してあげると、安心して人との暮らしを楽しめます。
参考文献
子安ひかり,永澤美保:ネコにおけるヒトから向けられた視線の認識
動物心理学研究 第69巻1号, pp27-34, 2019
profile
金巻先生(一級建築士)
一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。
犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。
著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。 ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。 H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」
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