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わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.84

犬や猫と快適に暮らすためのインテリア

窓辺の安全を考える 網戸接触防止

網戸の注意点

第52回「窓周りの対策」で、網戸についての注意点を挙げています。掃き出しサッシの透明なガラスや網戸は犬や猫には見え辛く、突っ込んでしまったりする事故を防ぐために、室内側にガードとなる格子戸を付けることを提案しました。今回はこのペットガード格子戸についてもう少し触れてみましょう。

網戸は、破れにくいグラスファイバー製のものなどが出回り、一昔前と比べれば丈夫になりました。しかし、網によじ登られたり体当たりされたりすると、網が枠から外れてしまう危険性は相変わらずです。そして、近年で課題になってきたのが高層マンション暮らしの犬猫が増えたこと。高層階では、風圧の関係からプリーツ網戸が使用されており、この網戸の構造では、下端をめくり上げてバルコニーに出てしまうという危険性があり、転落事故に繋がります。ですので、犬猫が網戸に触れないよう、網戸前の室内側に「接触・衝突防止格子」があると安心です。

犬や猫が「できない」状況を確保する

まず、「逸走防止」や「接触・衝突防止」のガード格子に共通の基準ですが、「よじ登れない」「くぐれない」という、犬猫にとっての2つの「できない」状況を確保が必要です。

シンプルに考えれば、よじ登るための足がかりとなる横桟のない「縦格子」で、くぐれないように「目が細かく」なっていることです。窓開口の高さに合わせてガードできていれば、よじ登っても越えられないので、横桟を増やすことが可能です。その際は、よじ登りに対応するよう、格子の金物にしたり、桟のサイズを太くしたりするなどで頑丈にする必要があります。

人と犬や猫が心地よく暮らすために

格子の「目を細かくする」意味は、桟の隙間に犬猫の頭が入らない様にして、首を挟んでの事故を防ぐためです。猫では、頭が入れば体もくぐれてしまいます。格子の最小開口(隙間・グリッド)は、対象にしている犬や猫の大きさにより寸法は変わることになります。私の場合、隙間は成猫を対象にして、グリッド(縦と横の桟で構成される)タイプでサイズを調整するなどしています。子猫や骨格のスリムな猫種に対応するには、縦格子でも2cmまで隙間を詰める必要がでてきます。

しかし、格子のピッチを細かくしたり、耐久性を上げるために桟のサイズを大きくしたりすると、人が閉塞感を感じてしまうことが課題となります。

「逸走防止用」では、くぐり抜けられない工夫が重要ですが、網戸への「接触・衝突防止」であると条件が違うのでそこまでの厳密さは必須ではありません。網戸によりその先の空間へとくぐり抜ける事が出来ないため、桟のピッチを多少広げることも許されるでしょう。

例えば、格子のピッチをアンバランスにしたり、部分的にステンドガラスを利用したりすると、単なる「衝突防止」ではなく差し込む光と色によるデザインを楽しむこともできます。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

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