carpet
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ペットと暮らす住まいのポイントを
ケーススタディでご紹介します。no.22
犬や猫のしつけ
犬や猫と暮らす家を考える時、家族である犬や猫の立場に立って考え、彼らにも心安らぐ家にしたいものです。ですが、ここで一つ注意しないとならないことがあります。それは「擬人化」です。相手の立場に立って考えるというのは重要なことですが、相手が犬や猫の場合、相手を「擬人化」して考えるのはあまりいい結果を生みません。
家族とはいっても人とは本能的な思考が違うのです、それを尊重してあげないと、問題になる行動の誘発も起こしやすいのです。
その代表的な例としてあげられるのは、「犬が外を眺められるようにするための覗き窓」です。「お留守番の時に、一人でも退屈や寂しくないように」と思いやっての工夫でしょう。道路を望むバルコニーの壁などに開けた穴や窓。そこからちょこんと覗いた犬の顔は、とてもかわいらしく、デザインとしてもとても素敵に感じてしまいます。しかし、これはやっかいな問題を引き起こします。
「覗き窓」を与えられた犬は、私達人とは全く違う受け取り方をします。「私たちのテリトリーに近寄ってくる不審者がいれば、吠えて教えてね!」と人が犬に頼んだ事になってしまうのです。
犬にとっては家の敷地内は自分たち家族(群れ)のテリトリーです。犬は群れの安全を守るため、テリトリーに近寄ってくる者に警戒をします。それが郵便屋さんや家族のお客様であったり我が家に用がある人であっても、犬にとってはテリトリーに侵入してくる不審者なのです。激しく吠えることになります。
そして、やっかいなのは敷地の横を通る車や通行人です。犬から見ると、それは単なる通りすがりではなく、テリトリーに近寄ってくる侵入者です。不審者がやってきたことを家族に知らせよう・追い払おう、と犬は吠えることになります。
吠えられた通行人は「うるさいなあ」と感じながらも、その家に用はないので黙って通り過ぎます。すると、犬は「自分が吠えたことによって、不審者を撃退できたんだ!」と、間違った学習をしてしまいます。こうしたことによって、吠えやすい子にしてしまいやすいのです。
番犬にするつもりならば効果はありますが、都心の住宅地では近所迷惑以外の何物でもありません。そして、犬が吠えるたびに家族は「吠えちゃだめ」と怒るでしょう。怒られても、犬にしてみれば当然の義務を果たしているだけですので意味がわかりません。混乱してしまいますから、落ち着きのない子にもしてしまうでしょう。
うちの子に良かれと思ってやったことが逆効果になってしまいますので、玄関への通路や道路が見えるような覗き窓は作らない方が犬には親切だといえます。
profile
金巻先生(一級建築士)
一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。
犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。
著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。 ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。 H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」
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