1. 犬家猫館.com
  2. にゃるほど犬猫塾
  3. 第87回 今だからこそ大切な犬との暮らし

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.87

犬や猫と暮らすということ

今だからこそ大切な犬との暮らし

コロナウイルス感染症の終息は見えない中、行動制限は緩和され、日常生活は感染症対策を続けながら元に戻りつつあります。

1万5,000年前(4万年前の説もありますが)人と出会い共に助け支えあってきた最も古い、そして身近な動物である犬は人の社会で数えることの出来ない程、多くの役割を担ってくれています。

そして、犬は人と暮らすこと、遊ぶこと、学ぶこと、働くことが大好きです。このような適性を持った地球上の友人を大切に共に暮らすことは、今のような時代に人類が優しさを忘れないためにもとても重要です。

今では世界中の子どもたちが悩み事を打ち明ける相手は共に暮らしている犬と答えています。兄弟の少ない現代の子どもにとって、共に暮らす犬は、身近な家族であり、友人です。

動物に触れる機会のない子どもたちに動物介在教育として学校での様々な授業、長期入院病棟でのふれあい、児童館や図書館での教育活動等で犬は大いに活躍していること、小児病棟勤務犬、法の場への付き添い犬等も増えていることからも子どもたちにとって犬は大切な存在です。

また、核家族世帯の多い現在、犬は人のおよそ4~5倍の早さで年齢を重ねていきます。共に暮らし、世話をすることから老いや限りある命を大切にすることを学ぶことが出来ます。

一方、高齢者にとっても犬は大切なお相手です。高齢者が犬と暮らすことは、その心身の健康の維持に多大な効果のあることは多くの研究者が報告しており、新たな調査研究も進んでいます。

高齢者が伴侶動物と暮らすと「ペット飼育が介護費の抑制に影響」との社会的効果の報告も出ました。

犬は人と暮らすようになり地球上に帰る自然を失わせた大切な伴侶動物です。私たちには、そのことに関して責任があります。

わたしたちも犬も幸せでなければなりません。犬と暮らすと決める時の準備は必須です。

犬との暮らしに必要な時間、費用、しつけは、ほめてしつける陽性強化法で、社会に受け入れられる良い子を育てるしつけを飼い主が学び、経済的な面では日々の食事代、ケア用品、生涯の医療費等も大切な検討材料です。

また、高齢者には、保護団体からの譲渡に、年齢制限(60才以上の単身世帯への譲渡不可)や施設入居時の問題、伴侶動物を連れての入居可能な高齢者施設もまだまだ少数ですが出来てきました。

犬と暮らす準備が整い、幸せな暮らしを始められた方、その犬に適性があれば是非ボランティア活動などに社会参加をして、犬が人間社会に大切な役割を担えることを実践、実感して頂きたいと思います。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)