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にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.86

犬や猫と暮らすということ

傷ついた子どもに寄り添う「付添犬」

子どもたちが裁判で証言する際に寄り添う「付添犬」は、日本では、2020年から活動しています。

アメリカでは、コートハウスファシリティドッグと呼ばれる「付添犬」は、2003年シアトルの検察官エレン・オニール・スティーブンスが、性的虐待を受けた双子の姉妹が「犬と一緒なら話しても良い」と言って、証言したことに犬の力を感じたことから始まりました。

その後、獣医師などの専門家と共に財団を設立し、アメリカでは2020年時点で248頭が活躍しています。

付添犬は被害を受けた子どもが証言する際に寄り添って精神的サポートをします。その場面は、様々な聞き取りや検査など多岐に亘りますが、その最中のみならずその前後にふれあうこともあります。

日本では、2014年よりアメリカのCourthouse Dogs Foundation(CDF)と連携をとり、2015年「コートハウスドッグ準備委員会(現付添犬認証委員会)」を立ち上げ、2019年「NPO法人 子ども支援センター つなっぐ(2022年特例認定NPO法人認定)」設立に伴い、コートハウスドッグ準備委員会をつなっぐ内に設置、2020年3月公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)CAPP認定犬フラン(ゴールデンレトリバー)が付添犬第一号認証を受け、2020年7月には社会福祉法人日本介助犬協会のハッシュ(ゴールデンレトリバー)が虐待を受けた子どもが刑事裁判で証言する際に日本で初めて付添犬として同伴しました。

動物のもつ温もりや優しさの力は、公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)の人と動物のふれあい活動(Companion Animal Partnership Program)CAPP活動で、高齢者施設、病院、学校などの訪問でも認められ、科学的にも効果が立証されています。

適性を持つ犬が被害を受けた子どもたちに寄り添うことにより、精神的負担の軽減に役立ちます。

付添犬は、獣医学的に健康で、人が大好き、基本的なしつけが出来ている。そしてハンドラー(JAHAのCAPP認定犬の場合は飼い主)も状況に応じたハンドリングと、子どもに対しても適切に対応出来るが、干渉しないなどの適性が必要です。(ハンドラーは司法面接研修を受講)

残念ながら付添犬第一号であり、CAPP活動でも沢山の活躍をしてくれた、フランちゃんは高齢になりお別れしましたが、後に続く付添犬がCAPP認定犬からも誕生しています。

子どもが裁判で証言をしなくても良い社会になるのが理想ですが、現状は辛い思いをしている子供たちに寄り添う付添犬の役割は益々重要になっています。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)