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にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.82

犬や猫のしつけ

犬の困った行動 食糞について

初めて犬と暮らし始めた時、可愛い子犬が自分の便を食べてしまったことにショックを受けた飼い主さんもおられると思います。

犬が食糞することで、大きな病気の引き金になる可能性は低いですが、愛犬の口から便臭がしたり、不衛生と感じたりするのは飼い主さんにとって辛いことです。

犬たちが排泄物を食べてしまう理由

なぜ犬は便を食べてしまうのでしょう。

犬に限らず動物は、生まれたばかりの子どもの排泄を促す為に親はなめて刺激をします。その際、便をなめて処理することもあり、人が考えるより犬にとっては自然なことですし、犬には便を「汚いもの」という意識はありません。

また、寝床を清潔に保つ、排泄物の痕跡をなくして外敵から身を守るといった野生の名残りとも言われています。

現在、人の家族として暮らし、自分で寝床を清潔に保ったり、外敵から身を守ったりする必要のない犬たちが便を食べてしまう理由を考えてみましょう。

まず、健康状態に問題がないか確認して下さい。痩せていたり、便の状態が悪い場合は、栄養不足(食事量不足・腸内環境・内部寄生虫)が考えられますので、動物病院に相談して下さい。

健康上問題がない場合は、犬の様子を良く観察しましょう。便を食べてしまうのは、興味や好奇心から、退屈している、飼い主さんの気を引こうとしている、片付けようとしている、などの理由が考えられます。

対処法について

何より大切な対処法は、排泄をしたらすぐに片付けることです。

先ずは食べる場面を減らすことです。食べそうになったら大好きなご褒美やおもちゃで興味をひき、便を食べるより飼い主さんのところへ行った方が良いことがあると思うようにしましょう。片付ける際には何気なくすることが大切です。急いで片付けるとかえって犬が興味を示してしまいます。

食べてしまった時は、決して声を出さずに片付けて下さい。大きな声を出すと飼い主さんが注目してくれると思い、気を引くために益々食べるようになることがあります。また、叱ると排便が悪いことと思い、トイレ以外の目につきにくい場所で排便したり、隠すために食べたりしてしまうことがありますので叱らないで下さい。

留守番時など、排泄してもすぐに片付けることが出来ない時に食べてしまった場合も叱らずに何気なく片付けます。時間が経って叱られても犬は何故叱られているのか分かりません。

お留守番をさせる際は、その前に沢山遊んだり運動をさせたりして満足させてあげる。留守番時には大好きで安全なおもちゃを与える。可能であればトイレと離れたところに遊べるスペースを準備し、排泄物が気にならないような環境を作る。などの工夫をします。

対処が難しい場合は動物病院に相談を

食糞すること自体で大きな病気になることは少ないとは言え、習慣化し、お散歩の際に他の犬の便を食べてしまうことで、寄生虫や病気に感染することもあります。

ご自身で対処が難しい場合には無理をせず、動物病院に相談して下さい。動物病院には行動学の専門家がいる場合もありますし、専門家を紹介してもらうことも出来ます。

一方、猫は自分の便を隠す習性があり、普通食糞はしませんが、稀に食べた物のにおいがする便を食べ物と勘違いしたり、便で遊んでしまったりする猫もいます。また、猫が食糞をしてしまう理由には、栄養不足(腸内環境・寄生虫)、異食症、ストレス、嗅覚の衰え、脳障害の可能性もありますので、まず動物病院に相談して下さい。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)