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にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.81

犬や猫と暮らすということ

伴侶動物の渡航手続きについて

およそ1年前、「にゃるほど犬猫塾」第77回「新型コロナウイルスの時代に」を掲載させて頂きました。それから1年、新型コロナウイルスの感染状況は益々深刻になっています。しかし、人類は歴史の中で過去何回も感染症との闘いに打ち勝って来ました。ワクチン接種が進み、治療薬が開発され、必ずや以前のような生活を取り戻すことを願っています。

伴侶動物の渡航手続きは事前にチェックを

さて、以前の私たちは予防接種が必要な一部の国や地域を除いて、パスポートさえあれば、自由に海外と行き来することが出来ました。今、新型コロナウイルスが蔓延し、渡航が可能な地域でもその国によって、ワクチン接種証明書や、一定期間の隔離が必要になるなど色々な規制が出てきています。

一方、伴侶動物の渡航手続きは、新型コロナウイルス発生以前から、渡航する国や短期間の日本への帰国予定がある場合、とても煩雑で長い準備期間が必要なことがありました。前もって十分に調べ準備期間を持って下さい。

犬や猫と共に移動するための詳しい条件については、国や地域によって異なります。内容が変更されることもありますので、必ず日本にある相手国の大使館と日本の動物検疫所に問い合わせてください。相手国によってワクチンの内容や駆虫薬の事前投与などが細かく指定されている場合があります。

犬や猫と安全に海外に渡航するために

日本への犬や猫の出入国の手続きに関しては動物検疫所のホームページに詳しく掲載されています。(コロナ禍で海外から緊急帰国を検討されている場合の対応も掲載されています)

例えば指定地域(狂犬病の発生のない国・地域(現在、アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアム))以外へ渡航し、2年以内に日本に戻る場合の準備を紹介します。

  • (1) マイクロチップ証明書
  • (2) 狂犬病予防注射証明書
  • (3) 狂犬病の抗体価検査結果 ( 農林水産大臣の指定する検査施設から発行された証明書 )
  • (4) 狂犬病の抗体価検査に用いた血液の採血証明書

などの書類が必要です。

狂犬病の抗体価検査の結果は採血日から2年間有効ですが、日本到着までの間に狂犬病予防注射の有効免疫期間が切れてしまう場合は、有効免疫期間内に追加の狂犬病予防注射を行い、輸出国政府機関発行の証明書に記載してもらう必要があります。日本への入国の際に条件を満たしていないと、動物検疫所の係留施設で最長180日間の係留検査を受けなくてはなりませんし、検査の結果入国が認められないこともあります。(動物検疫所のホームページより抜粋)

上記のように日本国内では義務ではない猫にも狂犬病予防注射が必要になります。準備は大変ですが、日本国内に於いて狂犬病は昭和32年の猫の症例を最後に発生していないことをみても動物検疫に関する日本の水際対策はとても秀でていると考えます。

人類が新型コロナウイルス感染症を乗り越え、大切な家族(伴侶動物)と共に海外赴任や長期滞在する日が来た時、また帰国する時などに、家族を守るための準備をしっかりして、トラブルなく帰国出来るよう予備知識を持って渡航準備をして下さい。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)