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にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.79

犬や猫と暮らすということ

犬と猫の祖先は同じ

伴侶動物の代表である犬と猫、犬の祖先はオオカミ、猫の祖先はリビアヤマネコ、しかし、もっとさかのぼると共にミアキスと言われています。

約6,500万前~4,800万年前に生息した犬や猫などを含む食肉目の祖先で、動物の母という意味を持つミアキスはイタチのような細長い胴体と短い脚、長い尻尾を持つ体長約20~30cmの小型肉食動物。大型の肉食動物が地上で暮らしていたため、体が小さいミアキスは木の上で生活する樹上生活動物で、鳥の卵やヒナ、爬虫類などを捕食していたと考えられています。

ここから犬と猫はどのように現在のように進化し、私たち人間と共に暮らすようになったのでしょう。

約1,200万年前に生息していたキノディクティスは、トマルクタスと呼ばれる動物に進化し、オオカミや犬のような外観のトマルクタスが、イヌ科の祖先と言われています。地上で生きるために、筋肉質の体、脚力が発達し、一方ミアキスが持っていた出し入れのできる爪が退化しました。

犬はおそらく2万年~4万年前に狼から進化した可能性が高く、比較的従順でおとなしい狼が、人間から残り物をもらい、人間は狼の警戒の声で危険を避けることが出来たのでしょう。7,000年前頃には犬は、ほぼどこの地域にも生息していましたが、私たちが思うような伴侶動物ではなく、野犬に近く、決まった飼い主のもとで暮らすことはなく、自然に繁殖し、外見は同じでした。しかし後に、人間の生活スタイルや犬の能力に応じて狩猟犬や牧畜犬などとして人間の手で改良され、やがて種類は700~800種(登録数約400種(国・団体によって異なる))(体重は1㎏未満から100㎏近く)という現代の犬種となりました。

約2,500万年前にプロアイルルスと呼ばれる現代のジャコウネコのような体重10kgほど、出し入れのできる鋭利な爪や歯、長い尻尾、大きな目が特徴の肉食獣に、約2,000万年前には敏しょうな動きと木登りが得意なプセウダエルルスへと進化し、その後枝分かれを繰り返しました。そして約13万年前に他のヤマネコ種から枝分かれしたリビアヤマネコがイエネコの祖先といわれています。猫が人間と暮らすようになったのは犬よりも遅く、一番古いもので9,500年前の遺跡から人間と一緒に埋葬された遺骨が発見されています。猫はネズミ捕りとして大切な穀物や書物を守り人間と共に暮らしていたことがわかっていますが、能力に応じて人間の手で改良されることは少なく、種類は約300種(登録数60種(国・団体によって異なる))(体重は2㎏~10㎏)です。

再び巡り合い、共に暮らす犬と猫

同じ祖先から一度は違う進化の道をたどり、別々の生活圏を選んだ犬と猫が、長い道のりを経て私たちと巡り合い、再び共に暮らし、私たちの家族として大切な役割を担ってくれていることに不思議な縁を感じます。

皆さんの家族の犬(犬種)や猫(猫種)の特徴や一頭一頭の性格もそれぞれの進化の過程を考えるとまた違って見えてくるかもしれません。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)