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にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.72

犬や猫と暮らすということ

IAHAIOでCAPP活動の効果を発表

IAHAIO(人と動物の関係に関する国際組織)について

前回(第71回)にご報告した調査研究を国際会議で発表することが出来ました。

人と動物の関係に関する国際組織

International Association of Human-Animal Interaction Organizations が2019年4月にアメリカ ニューヨーク郊外ブリュースターのグリーンチムニーズで開催されました。

IAHAIOは、人と動物との相互作用の正しい理解を促進させるために各国で活動している学会、協会等の国際的な連合体として、米国のDelta Society(現在はPetPartners)、フランスのafirac、イギリスのSCASが中心となって1992年に設立されました。

IAHAIOの使命は、人と動物の相互作用(Human Animal Interaction=HAI)の分野を進歩させるために、国際的な指導力を提供することです。そのために以下の目標を掲げています。

  • 1. 新しい研究、教育、活動の発展を奨励する。
  • 2. 様々な意見や情報を共有するためのフォーラムを提供し、協力関係を作る。
  • 3. 両方の分野の利点について、国や国際的なレベルの政策立案者や意思決定者を教育する。

IAHAIO発足以前の1977年より、欧米の関係団体が協力し合って、HABに関する研究発表と国際的なディスカッションの場として、「人と動物との関係に関する国際会議」を開催しており、1992年にIAHAIOが発足されてからも引き続き3年ごとに開催しています。

2007年には、日本の加盟5団体の協力により2007年10月5~8日に、アジアで初めての東京で開催されました。

CAPP活動の成果

今回、IAHAIOナショナル・メンバーである公益社団法人 日本動物病院福祉協会(JAHA)は1986年より行っているボランティア活動、人と動物のふれあい活動(Companion Animal Partnership Program)=CAPP活動の効果を、千葉県こども病院の医師、研究者の協力を得て、世界で初めてとも言える小児病棟(血液腫瘍病棟)でふれあい活動をしている患児とセラピー犬のふれあいの効果を科学的に検証し、口頭発表を致しました。

闘病する患児は、化学療法や感染症などの様々なストレスにさらされています。 2004年以来、CAPPセラピー犬は月に一度、そのような子どもたちに楽しさとリラクゼーションのために訪問活動を行って来ました。入院中の小児に対する訪問活動の効果を明らかにするために、2017年9月から入院中の小児におけるオキシトシンおよびコルチゾールの唾液中濃度を測定しました。子供たちは犬をなでたり、しつけのお勉強をしたり、病棟の廊下を散歩したりします。唾液サンプルは、保護者の同意を得た子供と犬の両方から活動前後に採取しました。その結果、小児の80%にオキシトシンの増加がみられ、66%の犬にもオキシトシンの増加がみられました。 オキシトシンとコルチゾールの間に有意な相関関係はありませんでした。

発表終了後には、CAPP活動についての細かい質問、計測のタイミング、このような研究についての質問があり、「素晴らしい研究発表でした」との感想も頂き、イギリス、アメリカ、オランダ、イスラエルなどの研究者の方々から、今後、小児病棟を訪問するために、素晴らしい裏付けとして、内容を病院側へ提示したいとの言葉も頂きました。

CAPP活動に参加して下さる飼い主(ボランティア)とセラピー犬、そして活動に関わって下さる多くの方々に感謝し、改めて、今後とも人と動物、双方の幸せの為にCAPP活動に力を入れていきたいと思います。

*公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)
〒103-0021 東京都中央区日本橋本石町3-2-7 常盤ビル7F
TEL03-6262-5252/FAX03-6262-5253

CAPP活動(Companion Animal Partnership Program)
人と動物のふれあい活動

それぞれの家庭で家族として幸せに暮らしている動物(主に犬と猫)とボランティア(飼い主)さんが高齢者施設、病院、学校などを訪問し、動物のもつ温もりや優しさにふれていただくボランティア活動。

このような犬、猫と暮らしているご家族の皆様、是非御参加下さい。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)