北欧のジャパン展4 | フィンランドフォーラム

海外情報フィンランドフォーラム「北欧のジャパン展 v.s. 日本のフィンランド展」

	2010.12.24 漆とHIRAMEKI*FINLAND 2つの展覧会リポート
	ソニー・ナカイ　グラフィックデザイナー

グローバル化デザインに集中する若い世代

　一方、若いデザイナー達はグローバルな感性が強く、今まで積み重ねてきたフィンランドデザインの個性の枠をはみ出して、世界で通用するデザインを目指している様な印象です。

（写真左）台所のテーブルでミニプランツを栽培し、収穫できる喜びを味わう仕掛け。
（写真右）サンダルはフォルムが目を引くグローバルデザインですが、どこか歩きにくそうな、不安な印象です。
以前は、身体に則したエルゴノミクスをベースにして、シンプルなデザインにまとめることが
デザインの基本と勉強してきました。
今日のデザイン教育は、一年生からコンピューターとソフトの訓練が優先でデッサン授業は除外されました。
それ程までにビジネスデザインに力を入れているフィンランドのデザイン教育の結果が、
今回のHIRAMEKI展で、少し気がかりに思えました。

ナチュラル＆エコデザイン

　フィンランドでは白樺の樹皮を使った実用的な伝統工芸品が作られてきました。そこからインスピレーションを得て、現代のテクノロジーを活用することで、新しいデザインが生まれました。天然の白樺の樹皮のパターンや色調にはユニークな特徴があります。通常白樺の樹皮は製材時に捨てられていますが、リサイクル可能で、エコロジカルな素材の特長を生かした、自然そのもののデザインです。

白樺の樹皮を四角く裁断して壁に張り合わせた、自然感あふれるインテリア。トミオカホワイトの世界を連想します。

日本の伝統工芸に新しい息吹を

　漆展で紹介したタウノ・タルナ氏は、岩手の盛岡の鋳造工芸「南部鉄器」に、フィンランドのデザイン感性を吹き込み、新しい南部鉄プロダクトを生みだしました。黒い鉄に着色することなど、昔ながらの職人には考えられませんでしたが、世界で人気を得て、新しい日本伝統製品として高く評価されてきました。

盛岡の伝統工芸品「南部鉄器」がタウノさん（右の男性）のデザインでデビュー。

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フィンランドと日本の往復書簡を中心に、世界各国に暮らす人々のインテリア事情をレポートしています。