Story 13 タイルカーペット
「ソコイタリシリーズ」前半

「日本らしいデザインのタイルカーペットを」
ソコイタリシリーズの開発ストーリーを
前半と後半に分けてご紹介します。

日本の美意識【底至り(そこいたり)】がコンセプト
タイルカーペット「ソコイタリ」の誕生

1980、1990年代、日本のタイルカーペットは、「GA-100」に代表されるような無地が主流でした。オフィスの執務室での使用が拡がり、市松貼りで施工されたその様子は、まさに日本のオフィス風景となりました。
1990年代後半、海外製のグラフィカルなデザインのタイルカーペットが登場し、オフィスのエントランスや廊下、商業施設といった場所で使われるようになりました。そのようなタイルカーペットに対抗するものとして、東リは2000年にグラフィックタイルカーペット「GXシリーズ」を発売しました。

GXシリーズは好評を博し、柄物カーペットは採用を増やしていきました。そこで、デザインにこだわり、オリジナリティの高いタイルカーペットの開発に着手しました。それが「ソコイタリ」です。キーワードは、“流し貼り”“フリーハンド”“組み合わせ”の3つ。

タイルカーペットは目地の違和感をなくすために“市松貼り”が常識でした。目地が目立ちにくい“流し貼り”は難しい取り組みでしたが、技術的・デザイン的な工夫を重ね、ソコイタリは流し貼りができるタイルカーペットとなりました。

ソコイタリは、日本らしい“粋”なデザイン「底至り(そこいたり)」をコンセプトに開発を進めました。「底至り」とは、一見は目立たないけれども、よく見るとすごく行き届いたデザインが施されているもの。例えば、一見地味だが裏地が凝っている着物などに使われた言葉です。普遍的で長く使える古びないデザイン、どんな用途にも使えるデザインを目指しました。
波模様の揺らぎは、江戸時代に粋とされた“よろけ縞”からインスピレーションを受けました。波の自然な揺らぎを表現した「地模様」に加え、「地模様」の上に幾何学模様を乗せた5種類の柄を展開し、「ソコイタリ」は2004年に発売しました。「地模様」と「柄物」は、組み合わせることができ、柄が繋がって見える斬新なデザインでした。

発売後はソコイタリを紹介するための展示会を開催しました。一つの製品で展示会を開催することは珍しく、ソコイタリは業界で評判を呼び、一目を置かれる存在となりました。ソコイタリはグッドデザイン賞を受賞し、その後、東リがデザインに一段と注力するきっかけとなりました。

開発当初のスケッチ

発売当時の施工イメージ

【底至り】

意匠にこだわりをもち、創意工夫をこらすこと。
目立たないが、よく見るとすごく行き届いている。
日本人の美意識、「粋」の極みをいう。

掲載日 2024.03.21