Story 11 伊丹市新庁舎

大きな窓から光があふれる、明るい印象の伊丹市新庁舎。
自治体として先駆的なシステムを取り入れた庁舎内には
東リの内装材が多く使われています。
伊丹市新庁舎と庁舎を彩る東リ商品について、
伊丹市総合政策部デジタル戦略室 新庁舎等整備担当の
中西主幹にうかがいました。
左より当社社長 永嶋、伊丹市総合政策部デジタル戦略室 桝村参事、中西主幹

Q 先駆的な新庁舎の建設に至った経緯をお聞かせください。

2019年6月に藤原市長から、市民サービスのデジタル化と職員の働き方改革について“Smart Itami 宣言”が発出され、私(中西主幹)の所属するデジタル戦略室ができました。命題は、「デジタル化によって働く職員がいきいきとスマートに働き、結果、市民サービスを向上させるよう、市民と職員それぞれにデジタル化が両立する新庁舎に」。デジタルの分野に長けた桝村参事のもと、ハード(建物)とソフト(デジタル)を融合させる取り組みがスタートしました。
しかし、プロジェクトの途中でコロナ禍となり、世の中は加速度的に変化しました。コロナ禍の影響で建築設計は見直しがありつつも、社会のデジタル化は予想以上に進展し、建築とデジタルの融合にとっては追い風となり、さらに推進されました。

ビタミンカラーとソファが印象的な会議室。
東リの営業担当者も同席しました。

新庁舎をデジタル化したことによる成果として、“ペーパーレス50%の達成”が挙げられます。ペーパーレス化は、単なる紙の電子化や紙ゴミの削減だけでなく、テレワークやABW(職員が仕事の内容や気分に合わせて、時間と場所に自由に選択するという働き方)を実現するなど、労働生産性の向上といった、業務の改善につながっています。

Q 新庁舎の特徴は何ですか。

新庁舎の特徴は2つあります。 執務室1つが「グリーン市役所」で、建築物省エネルギー性能表示制度による 「ZEB Ready」認証を取得しています。これは、床面積2万㎡を超える大規模庁舎では西日本初となります。
照明関係では、建物全体に設置した900カ所以上のセンサーで外光の量を感知、人の有無を検知し、照度調整を徹底しています。結果、照明にかかる消費エネルギーを大幅に削減。さらに、空調関係では、高効率空調の採用や、各種インバータ制御のほか、会議中のCO₂濃度をセンサーで感知し、自動で換気するエアコンの導入などによって、空調による消費エネルギーを削減。これらの照明や空調の無駄をなくす取り組みにより、従来のエネルギー基準の建物の消費エネルギーから54%カットを実現しました。

もう1つの特徴がICTなどの最新のデジタル技術の導入による「スマート窓口」です。 “行かなくていい(ご来庁いただかなくてもいい)”“書かなくていい” “待たなくていい”という3つのキーワードをコンセプトに、市民窓口のサービスを向上させました。これまで、お客様にご負担であった窓口の手続きを簡単、便利にすることに加え、そのほかのデジタルサービスとして、デジタルサイネージや全国自治体施設初となる無人決済コンビニの導入も見所となっています。

また、このプロジェクトは、これから約2年に亘り、旧庁舎解体工事や市民広場や駐車場整備工事が控えています。その解体工事に至っては、廃棄物の削減にも取り組んでいます。旧庁舎の跡地につくる「市民広場」では、地下空間を解体せずそのまま残す計画です。これにより、廃棄するコンクリートを減らすことができ、加えて建築費用の抑制にもつながります。

Q 内装材に関してはいかがですか。

窓口内装材の選定には、かなりこだわりました。働き方改革を推進するために、様々なコンセプトのワークスペースを作り、それぞれを特徴的なインテリアに仕上げました。

市民の皆さまをお迎えするスペースは、アースカラーやモノトーンでコーディネートしました。窓口にはリビングのような空間をイメージし、明るい色のタイルカーペットを選びました。
職員が利用する会議室は、入室したときに気持ちのモードチェンジやコミュニケーションを促せるよう、会議室ごとにテーマカラーを設けました。東リ商品はカラーバリエーションが豊富で組み合わせがしやすいため、テーマカラーに沿った空間に仕上げることができました。

内装材は色・柄以外のこだわりもあります。議場に使うカーペットは、踏み心地を重視した毛足の長いカットパイルが一般的ですが、車いすの方でも使いやすいようにループパイルのロールカーペットを採用しました。そのほか、抗菌・抗ウイルス仕様の壁紙の採用や空間に適したビニル床タイルなどにもこだわりました。

Q 今後の庁舎について、展望はございますか。

旧庁舎の跡地に「市民広場」をつくり、このプロジェクトは完成します。災害時には自衛隊車両が入る災害支援場所となりますが、通常は市民の皆さまが集う、公園のような広場になります。

新しい伊丹市庁舎は、市民の皆さまに自由に使っていただきたいと考えています。こう使ってほしい、という思いはありますが、市民の皆さまが発見した新しい使い方を積極的に取り入れていき、より利用しやすい庁舎にしていきます。
また、職員は働き方改革・オフィス改革に取り組んでいきます。少し時間がかかるかもしれませんが、仕事のパフォーマンスを高め、それを市民サービスにつなげることで、「スマート市役所」として発展していきます。
最後に、市役所はまちのシンボルとして、まちの未来をクリエイトする拠点になると考えます。これから、市民サービスをさらに拡充しながら、「選ばれるまち」となるよう、そういった市役所を目指していきたいと考えます。

建て替え時に伐採したクスノキは、家具とオブジェに生まれ変わり、庁舎内各所に展示されています。

プロフィール

中西 寛(なかにし ひろし)
伊丹市生まれ。大学まで伊丹市内で暮らし、卒業後、民間の建設会社で建築の仕事をご経験。
伊丹市に恩返ししたいという思いで、伊丹市役所にご入庁、現在に至る。

◆伊丹市新庁舎についてはこちら↓
https://www.city.itami.lg.jp/SOSIKI/SOGOSEISAKU/anzenansinsesakusuisinhan/tyousya/index.html
◆伊丹市新庁舎PR動画はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=3XuDqD91gYA&t=2s

編集者あとがき

東リの若手社員向けに、見学会を開催していただきました。
中西さま、そして懇談会や見学会にご協力いただいた伊丹市職員の皆さま、ありがとうございました。

掲載日 2023.03.09