Story 08 「コネクトマット」

2021年9月30日よりクローズド販売製品として発売を開始した
バレーボール競技専用の新型フロアマット「コネクトマット」。
一般社団法人日本バレーボールリーグ機構(以下、Vリーグ機構)との
共同開発ストーリーです。

Vリーグ機構×東リ=未知の床材への挑戦

2018年の秋、日本を代表するバレーボールのトップリーグであるVリーグ機構のご担当者様から「現行使用されている床シートと使い捨て製品の両方の長所を兼ね備えた床材はないか」と東リにお問い合わせいただいたことからすべてが始まりました。
早速、新規事業を開拓する営業担当者が詳しい状況を伺うと、スポーツ競技の床が抱える問題点は数多くある事を知ることができました。バレーボールの試合は体育館で行われますが、既存のフローリングのままではささくれなどがある場合には、けがなどにつながる危険性があります。そのためVリーグ機構の興行試合では、安全にプレーがしやすく会場を華やかにみせるため、体育館の床に専用の床仕上げ材を敷設します。体育館はあらゆる人が使用するところなので、使用後は元に戻せるようにするのが条件。床シートは、専門の業者でなければ敷設・撤去が難しく時間がかかります。一方で今までの使い捨ての製品は、汗で選手が滑りやすいことや、試合ごとに大量の廃棄物が発生するといった課題を抱えていました。東リ既存の製品や短期間の取り組みでは解決が難しいと判断し、メーカーとしてスポーツ文化に貢献できないかという想いで、営業や企画、技術開発の選抜メンバーが集結し「チーム東リ」で取り組むこととなったのです。

性能だけでなく見た目も重要!
試行錯誤の3年間

当時、東リにはバレーボール競技に適した床材の知見がなく、文字の通り“ゼロ”からプロジェクトがスタートしました。「チーム東リ」で取り組むからには、選手がプレーしやすいのはもちろんのこと、床材を通じてバレーボールの競技の魅力をアピールしたいと考えました。
体育館の床にバレーボール専用の床材を敷設・撤去するのは、設営業者やボランティアの皆さんです。短時間で誰にでも敷設・撤去できる床材があれば、選手は早くからウォーミングアップに入れます。そこで、再利用可能なマット形状を考案することで、1人で簡単に運搬でき、ボランティアの方々でも敷設・撤去ができるようになりました。
製品の性能としては、鍛え上げられた身体が勢いよく助走し、踏ん張ってジャンプやスライディングをした時に、ずれたり破れたりしない強度が必須。それに加え、バレーボール特有の「適度な滑り」が重要であることがわかりました。またスポーツ業界全体では、人を惹きつける会場の演出が求められます。試作品が完成しては現場でのヒアリングを繰り返し、いくつかのチームに検証のご協力をいただきながら、確実に完成度を上げていきました。
いよいよ発売に向けて準備が整い始めた2020年、コロナ禍によりVリーグ機構の興行試合が縮小され、発売が難しい状況になりました。そのような状況でも、より良いものを提供させていただくためには引き続きの検証が必須であったため、Vリーグ機構と共に協議を重ねた結果、全国8会場にて開催された「2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN V Cup」での使用を実現させていただきました。

“無理難題への真摯なご対応に、
大変感謝しています”

3年前、既存の床シートと使い捨て製品の両方の長所を兼ね備えた理想の床材を探していました。Webで様々な会社を調べたところ、日本の床材では東リが国内シェアトップクラスであることを知り、お電話したことを今でも覚えています。事情をお伝えするとすぐにVリーグ機構の事務所へ来局され、前向きにご検討いただけるとの姿勢に、真摯な企業姿勢を感じました。
開発当初から、床材の厚みや表面の素材感覚などについて、自ら選手の意見を積極的に収集・反映されていました。無理難題な要望をすることも多々ありましたが、積極的に対応されていましたね。
また東リの企業姿勢だと思いますが、見た目や利益よりもまず、選手の安全安心を第一に配慮されていたのには感心しました。
実際に「コネクトマット」を使用しているチームからは好評価をいただいているので、今後は使用するチームが増えることを期待しています。また「コネクトマット」はすばらしい製品なので、Vリーグ以外にも告知を積極的に行い、さまざまな場面でご使用いただけるようにアピールしたいと考えています。

Vリーグ機構 日置理事事務局長

“発色がいい!
従来にはもう戻れないですね。”

「コネクトマット」を見た瞬間、発色がいい!と感動しました。バレーボール競技では、子どもたちに憧れられるような業界に発展したいという想いで、エンターテイメント性を重視し追及しているからです。しかし選手が使うものでもあるので、膝つきや足裏の靴との接地面など、真新しい製品の性能がとても気になりました。
実際に使用してみると明らかにいい床材で、従来の木床にはもう戻れないですね。これをきっかけにバレーボール競技において、床材は譲れない観点になりました。チームの考えとしては、選手の安全を考慮すると、床から考えるべきだと思っています。プレー中にどうしても転倒などで床に触れる機会がありますが、やけどをするような摩擦にも配慮されているように感じます。設営や運営の面では従来品と比べて遜色がなく、コストパフォーマンスもいいですね。また見た目にチープさがなく、選手が魅力的に見えることも満足しています。先日、子どもたち(U-16のチームメンバー)に同じコートで練習をしてもらうイベントをした際、とてもポジティブに練習していました。リーグの床に触れることで、モチベーションの向上に繋がっているようです。
バレーボールが盛んなイタリアやアメリカでは、コートをツートーンで彩ったり多色展開したりという工夫を見かけます。今後は選手がプレーするときに、「こんな環境でプレーしたい」という魅力を演出できるカラー展開が広がるといいですね。あわせて1枚1枚のサイズの検討は続けてほしいです。今でも最適な形状だと思いますが、今後の発展に向けて検討の継続をぜひお願いします。

ヴィクトリーナ姫路 安保ゼネラルマネージャー

選手を足元から支える
「コネクトマット」が活躍

「コネクトマット」と命名したのは、バレーボール経験者で東リの経理を担う若手女性社員です。 “コネクト(つなぐ)”には、“プレーでボールをつなぐ”や“マットを敷きつめて1つのコートにつなぐ”という意味と、Vリーグ機構と東リといった“これからもあらゆる人とコトをつないでいきたい”という想いが込められています。
実際にご使用いただいた各チームの監督や選手より、バレーボール競技に求められる品質面(選手の負担を軽減したクッション性・適度なグリップ感・摩擦によるやけどを軽減した滑り摩擦)においても最適との評価をいただき、2021-22 V.LEAGUEの一部公式戦と2021年12月25日の男子オールスター戦や26日の女子ファンフェスタといった1年に1度の華やかなイベントにもご使用いただきました。
今後も製品の性能改善を続け、競技シーズン終了後にはリサイクル回収を含めたサスティナブルな取り組みをVリーグ機構と推進し、スポーツ振興に貢献していきます。

※「コネクトマット」はクローズド販売製品です。
ご質問等は、特販営業部 特販事業グループ まで
お問い合わせください。
TEL:06-6494-6626

掲載日 2022.02.24