Story 02 業界に新たなスタンダードを生み出した
タイルカーペット
『VARY(ヴァリー)』シリーズ

東リが2006年に世に送り出した1つのタイルカーペットが、
業界の常識を変えたことをご存じでしょうか。
それは「世界の人々の心豊かな空間環境づくり」へ向けて、
理想を追い続けるチャレンジ精神から生まれました。

新たな価値を
提供したいという思い。

いつもこれまでの常識や当たり前を疑い、これからのスタンダードをつくることを目指してものづくりへ取り組む――。
今回は、タイルカーペット市場に新たなスタンダードを確立したロングヒットシリーズをご紹介します。
2006年、タイルカーペットの概念を覆した『VARY』シリーズ。その特長は、それまで正方形が定番だった業界において、長方形を基本にするという新しいサイズにありました。シリーズの生みの親たちが、当時を振り返ります。

タイルカーペットに
新たな可能性を。

始まりは2004年の中頃のこと。当時、急速な普及を見せていたタイルカーペットは、昔ながらの長尺のカーペットに比べ施工のスピーディーさ、搬入時のコンパクトが歓迎されていました。当社から画期的な新製品を出したいと、アイデアを持ち寄っては試作品を製作していました。ある時、従来の50cm角サイズばかりではなく、長方形でつくってみようという案が持ち上がったんです。そこで25cm×100cmの長方形を基本に、25cm×25cmのアクセントサイズを加えた新たしいモジュールを考案。長さを従来の2倍にする代わり、幅を2分の1とすることで1枚の面積は同数値をキープしました。当時の定番サイズと同じ感覚で使えて、しかし空間デザインの幅が広がる形がベストだと考えました。

新たな市場に手応えを感じて。

プロジェクトの始動と同時に、顧客へのヒアリングも開始しました。見慣れない・聞き慣れないサイズにお客様からは賛否両方の声が集まりましたが、それまでのメインターゲットであったオフィスの内装以外、例えばホテルや空港の設計を手がける新たな顧客層からは反応が良かったので、市場を広げる一手になる予感がしました。

東リが誇る
職人の技があってこその実現。

一方で25cm×100cmサイズは当社にとっても新たなチャレンジでした。タイルカーペットの表面はやわらかなパイル素材です。カット(打ち抜き)する際にパイルの並びに沿ってぴったり刃を入れることに求められるのは、高い精度。100cmもの長辺を打ち抜きするとなると、1枚ずつはわずかな誤差であっても現場で並べるうちに大きなズレを生んでしまうことになるのです。コンマ数ミリのレベルで仕上がりを見越した調整をする、そんな精確な寸法精度なくしては実現しません。そこで活きたのが、東リが培ってきたものづくりのノウハウと打ち抜き歯を組み立てる熟練工の高度な技術でした。東リは自社で刃型を組み立てており、その寸法精度は国内屈指を自負しています。従来になかった“細く長いかたち”を可能にしたのは、国内有数の技術を持つ東リの職人たちあってこそでした。

広がるデザインの可能性を訴求。

また当時は配色のハッキリしたストライプなど、シャープなデザインが流行していた時代でした。新たな価値を提案するにあたり、竹や石など自然のモチーフを取り入れ、違う色番を並べても自然なグラデーションを楽しめる、貼り方や組み合わせでさまざまなテイスト表現を叶えられるなど、自由度の高い意匠を展開。あわせて、カタログでは前例がないほど豊富なレイアウト写真を掲載し、デザインの可能性を訴求しました。 試験機のある工場へ通い改良を重ね、着想から2年半の時を経て送り出した『VARY』。その名付けには、人々によりバリエーションに富んだ彩りの空間を提供したいという願いを込めました。

豊富に掲載したレイアウト写真の例

業界初のサイズ展開が、
みごと話題に。

新製品『VARY』シリーズお披露目の展示会は大盛況。空港をはじめ大型施設や店舗からの受注に支えられ、好調なスタートを切りました。発売翌年の2007年にグッドデザイン賞を受賞し、東リのラインアップには欠かせないシリーズに成長しています。特に注目すべきは、2009年頃から他メーカーが同様のサイズの製品を次々と発表し、25cm×100cmの『VARY』サイズは、今や世界的なタイルカーペット市場の定番サイズに仲間入りしていることです。その理由は、長辺のあるかたちは奥行を感じさせるだけでなく、組み合わせしだいでデザインの幅が広がり、広い空間でも素晴らしく映えることで、店舗や公共施設で歓迎された実績からではないかと分析します。
「空間にもっと自由な彩りを」と東リの社員たちが創意工夫した新たな提案は、業界の常識を覆し、新しい常識をつくり出しました。東リの社員たちのものづくりにかける熱意は、今日も脈々と引き継がれています。