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  3. 第93回 家庭にある口にすると危ないものへの住まいでの配慮(中編)

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.93

犬や猫の安全

家庭にある口にすると危ないものへの住まいでの配慮(中編)

家庭内には、犬や猫にとって危険なものが意外と多いものです。前編に続き、中編・後編では、生活空間に置かれやすい薬物について触れてみます。

住まいの中にある薬物というと、キッチンや浴室のシャンプーや洗剤を思い浮かべますが、飼い主さんが健康のために飲むサプリメントも薬物(薬剤)です。サプリメントはパウチの袋に入っていることが多いですが、ペット用のウエットフードやオヤツの袋と似ているので、かじってしまうと言う事故もあったそうです。サプリメントはお薬と同じく、犬猫が触れないように収納して管理しましょう。そして、忘れがちで要注意なのが、アロマオイルや芳香剤といったものです。

観賞用の植物と共にインテリアの人気アイテムとして、アロマオイルやハーブポプリがありますね。ただし、人と犬猫は代謝のしくみが違うため、特にアロマオイル(精油)は危険が伴います。たとえばティーツリーオイルですが、花粉症対策や風邪ウイルスを撃退する効果があるとされ、室内で加湿器と共に焚かれる方も多いようです。しかし、特に猫にとっては、ティーツリーオイルは毒性の高い精油です。そして、アロマオイルを焚くと、その成分が空気中に漂うことになります。毛を舐める習性がある猫では、体に付着した精油成分を舐め、直接的に薬物を体内にとり込んでしまう危険性が高いと言えるのです。直に舐めるのでなく、空気中にあっても危険が高いと言えるため、加湿器にも、アロマオイルを使わず使用しましょう。

アロマの他、臭い対策に芳香剤や消臭剤を使うという方がいますが、臭い対策は、香りをかぶせるのではなく、まずは清潔にすること。室内を清掃しやすくし、臭いの発生源となる食べこぼしや汚れ、ハウスダストといった臭いの発生源となる汚染物質を定着させにくいよう、拭き掃除ができる内装仕上げとしておきましょう。悪臭による空気汚染に対しては「通気」「換気」による排気が基本です。室内の空気の流れがよいと、壁や天井に臭いが定着することが軽減できます。消臭剤も舐めれば毒となるので、できるだけ使わない方が望ましいでしょう。

日常生活で空気は汚れ、臭いも空気中に漂いますが、汚染された空気は換気で外に出してしまうと基本は、犬や猫を日常にある薬剤の毒から守ると言うことにも繋がるので、大切な事と言えるでしょう。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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