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  3. 第76回 湿度調整の重要性

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.76

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

湿度調整の重要性

「自然な換気・通風」を意識した空調管理を

犬は一般的には暑さに弱く、このところの夏の異常な暑さで冷房が離せなくなっています。そして、空調設備が機能アップしているために、「クーラーをフル回転して部屋を締め切って夏を過ごしている」といった方が多くなったようです。これは一見快適なようですが、部屋を締め切っているとハウスダストを溜め込むといった事にも繋がります。

空調機だけに頼った冷房では、室温が床面と天井では2℃も違うほど、床面はかなり温度が低くなる恐れがあるのが問題です。シーリングファンなどで室内の空気をゆっくり撹拌するなどで工夫しましょう。外気との温度差は、できるだけ3℃~5℃程度に抑えるようにするといいでしょう。そして、換気用のレジスターや空気取り入れ窓を利用して、外気を取り入れた風通しの自然換気を併用してみてください。「自然な換気・通風」による外気の取り入れと室内空気の攪拌は、室内環境の改善に効果的です。少し室温が高くても空気の動きがあると涼しく感じらます。また、温度を低すぎないようする事も同時に行えます。換気が充分できていないと、湿気が溜まりカビやダニが繁殖します。空気環境の悪化を軽視していると、健康を害する事になります。

湿度の管理にも気を配る

室内の温度に気を配る飼い主さんが多いですが、「湿度の調整」もとても大切です。

犬は比較的乾燥にした地域で発展した生き物で湿気は苦手ですが、湿度は30%以下にすると、風邪などのウイルスが活発になるのです。そして、乾燥した空気は静電気がおきやすく、「ハウスダスト」と組み合わさって体に負担をかけてきます。「ハウスダスト」とは、「カビの胞子」「ホコリ」「ダニやのみの抜け殻」「動物の毛やフケ」などの事です。中でも、煙草の煙や花粉は静電気を帯びやすく、室内にこびりついて汚れとなります。同じように体にも付きやすくなります。

体を覆った毛が静電気を帯びてしまうと、犬や猫はハウスダストを引き寄せて暮らす事になります。ハウスダストはアレルゲンです。付着したアレルゲンが被毛を乗り越えて、肌にこびり付けば、そこが刺激され体調にも影響するようになるのです。

湿度の調整が、人だけでなく犬猫にとっても健康維持に大切です。空調機器での湿度調整の他に、建材でも頼もしいアイテムがあります。湿度を調整する「調湿建材」と言われるもので、漆喰や珪藻土が知られています。壁紙にも漆喰や珪藻土を利用した商品があるので、犬猫や人がこすったりしない高さを避け、腰高の壁面や天井にお勧めです。これらの調湿壁紙をより効果的にするには、下地となる壁に「調湿石膏ボード」を合わせて使われると、より効果的です。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

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