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  5. 第94回 身近な保護動物のアダプション(譲渡)|犬家猫館(イヌヤネコタチ)

柴内先生の にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.94

犬や猫と暮らすということ

身近な保護動物のアダプション(譲渡)

伴侶動物の筆頭である犬と猫は私たちの暮らしの身近で暮らし、常に共に人生を歩む大切な存在です。 人と動物の絆(人と伴侶動物が共にあることで双方が幸せになれる事)の存在で太古の昔から堅く結ばれた存在でもあります。

当院では開業以来60年間保護された動物の譲渡を行って来ました。
最近も様々な経緯で家族を探す犬や猫がやってきます。以前は外で保護された子猫がとても多く、それに次いで中型犬の雑種が都内でも一人歩きをしていることもあり、当院で保護して病院内で暮らす存在になった子も少なくありません。最近では諸事情から子犬で譲渡先を探す事になるケースもあり、また,純血種の子犬子猫、成猫成犬の譲渡も増えてきました。保護と譲渡の問題は形を変えて続いています。先日も保護犬と暮らそうというテーマの映画もリリースされました。
保護猫に関しては当院の患者様だった方々が保護団体を立ち上げ、勤勉で真摯な活動をされ、千代田区ではもう10年以上外の猫がほぼいないところまで活動を進めておられます。
そのような団体さんのお手伝いも含めてですが、様々な御縁で家族を探す動物達はやってきます。その都度必要な医療を超低価格またはボランティアで行い、新しい家族に迎えていただきます。家族になる方には十分なインタビューをさせていただき、その動物が不幸にならないような配慮の中で誓約書を交わし、お渡しします。当院の患者様に貰われた時には特にフォローアップも出来、心から幸せになっている姿を拝見出来るのでスタッフ一同心から安堵し感謝を感じます。

保護の動物にはそれぞれ様々なストーリーがあると思いますが初めて来院したときには大変大人しく、何に対してもあまり反応しない事も多いのです。先日、あるシルバーのプードルさんの成犬譲渡をさせていただいたのですが、来院当初なんでも全て受け入れていた大変大人しいそのワンちゃんは幸せなご家族に譲渡が決まり、大変恵まれた深窓の令嬢(犬)になったのですが、しばらくするとその子の生来の性格と感情の表現が現れだしました。もちろん譲渡の前に行動学の獣医師やしつけのインストラクターも様子をチェックします。それでも家族の中で暮らし始めると変化があります。
健康診断の折の検査を受けるときも譲渡前の医療診察時にはなされるがままだったその子はイヤイヤをするようになりました。性格そのものも顔つきも変わり、目の光が強くなりました。「この子は生来こういう子だったのか」と私たちも驚くほど感情深く、表現豊かな様子を見せてくれました。動物達は人間の伴侶であり、生活の環境と家族や周囲の接し方次第で大きく変わる実感がありました。
エマちゃんという可愛いお名前をつけていただき、いつもママと一緒に楽しく過ごしていただいています。エマちゃんはあるときお散歩で海辺の公園から四つ葉となんと五つ葉のクローバーを見つけてくれました。「この子との御縁を頂いた先生に!この子が見つけた幸運のクローバーです。2つもみつけたんですよ。」
嬉しいサプライズプレゼントをいただきました。私の宝物になっています。

人と動物の絆:Human Animal Bond
人と動物が共にあることで双方が幸せになれる事

エマちゃんが見つけてくれたクローバー
トリミング後のエマちゃん
診察の時のエマちゃん

profile

柴内晶子先生(獣医師)

赤坂動物病院 院長

伴侶動物医療の現場で、「人と動物の絆」〜Human Animal Bond〜を大切にした診療を行っている。 (公社)日本動物病院協会のアニマルセラピー活動であるCAPPへの参加推進を行い、社会活動として東京青山ロータリークラブでのアニマルセラピー活動を通じた社会奉仕活動を定期的に実施。心の窓をひらく「じっとみて」ワークショップには、未来育ティーチャーとして参加している。 日本大学では、非常勤講師として獣医倫理福祉の講義を行う。 様々な獣医事関連の委員会活動に従事し、日本大学外科学研究室の学部研究生として獣医再生医療にも積極的に取り組んでいる。