スウェーデン・建築＆デザインリポート4 | フィンランドフォーラム

	2010.10.14 スウェーデン・建築＆デザインリポート
	ソニー・ナカイ　グラフィックデザイナー

北欧の漁村

オッレさんのサマーハウスからさらに10キロ程の漁村には、昔の面影を残す家々が立ち並ぶ一郭があります。昔の漁村の暮らしを紹介する博物館もあり、観光客をひき付けるレストランやカフェ、ショップで賑わっていました。

漁師が住んでいた2階建ての木造家屋が、この村の生活文化を継承し、博物館として保存されています。
今でもそうですが、海上での安全保障は神への祈りのみ。漁師はみな、信仰を大事にしていました。

ベッドの壁には十字架、キリストの姿が漁師を海の事故から守ってきてくれたことでしょう。
右の額に女性の髪を編んだ作品が飾られていました。妻が夫の安全に祈りを込めて、髪を編んだものです。
小テーブルには結婚式のお客様に配ったキャンディーがあり、包み紙にはキリストの絵が描かれています。
クラシックなオルガンもありました。音楽は、暗い冬の間の大切な心の安らぎだったのでしょう。

博物館館長は天井に届きそうな長身のジャイアントに見えますが、実際の身長は180cmくらい。
暖房と材料節約のために、天井は2mくらいです。エコロジーというよりも、生活の必須条件だったのでしょう。
でも、オイルランプと暖炉に囲まれた生活は、現在ではロマンティックなインテリアです。

ランプの高さ調整は滑車仕掛け。昔の人の知恵は素晴らしいものです。
暖炉の前には薪と「ふいご」が馬蹄型の枠に納めてありました。

窓枠の上に昔のタバコが並んでいます。タバコは漁村の男のシンボルだったのでしょう。

戸棚には古いグラスや陶器が並び、木の葉形に切り抜いた古い新聞紙の下敷きがチャーミング。
古い戸棚にお似合いで、昔のニュースを読めば面白いものです。グッドアイディア。
中央は調味料入れの陶器、レース編みランナーの上に整理されて並んでいます。
右は薬箱です。「救助のための薬箱は、漕ぎ手サムエル・フリスクにより管理されていました。」と、
当時のヨーテボリ市長が認証しています。サムエル・フリスクはこの家の住人だった人です。

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フィンランドと日本の往復書簡を中心に、世界各国に暮らす人々のインテリア事情をレポートしています。