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フィンランドフォーラム
2019.6.18 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー、在フィンランド) フィンランドの建築家Riitta Salastie ヘルシンキ近郊の大学都市にある住まいに伺いました
昨年から「今を生きているフィンランドの建築家と住宅」をシリーズで紹介しています。初回はアートが一杯の ヌルミネン邸、2回目はそのヌルミネン邸を設計された建築家のセヴェリ・ブロムステットさんの住宅と隣接するスタジオを訪ねました。建築家特集3回目は、日本を愛する建築家サラスティエさんをご紹介しましょう。ヘルシンキ近郊の大学都市にある住まいに伺いました。彼女がいかにして日本の文化を探求し、そして実践するライフスタイルに共感してください。
日本のアートに魅了され、日本を愛するフィンランド建築家 Riitta Salastie

当日は、Saana Lavaste 教授と一緒に「華道の心」を分かち合い、感動的な日本の文化を広めていこうと努力しました。
モダンデザインに統一された学舎の中にあって、この長過ぎるようなベンチは、全体にやや不均衡な形をしていました。
でも、ZEN に対する私の心にとって、安らぎを感じるものでした。「禅」は私の日常の中に生き続けています。
(談:Riitta Salastie)
彼女はフィンランドの建築美学を基本として、さらに日本文化と美学について深く学んできました。今も心を休める手段として座禅を組むことが、欠かせない日課になっています。彼女の博士論文は、京町家と祇園祭の山鉾町界隈の保全に関するものでした。リータ・サラスティエは、日本文化を愛するアーティストであり、日本に滞在中に、書道と華道の免許を取得して、フィンランドにおいても教授の資格を持っています。ヘルシンキの日本大使館に勤務する女性は、彼女の自宅で華道を学んでいると聞きました。
普通の日本人よりも、日本の心を持つフィンランド人だと思います。彼女の部屋には小さな「仏壇」と座禅クッションがありました!
(注:ヘルシンキ芸術大学(UIAH)は、工科大学、経済大学と統合されて、現在はアールト大学と呼ばれている。)
リータはオタニエミの工科大学(現在のアールト大学)を卒業した建築家です。その後ヘルシンキ市役所において都市保全部の建築家として、多くの保全計画のアドバイスと評価メソッドを開発し、ヘルシンキの都市計画プロジェクトの中でも、近代建築と戦後の住宅地の保全計画に力を注いできました。1940 年代に開発されたヘルシンキオリンピックセンターの保存もそのひとつです。
フィンランド建築のベース:アールトの影響とモダニズム
この日、オタニエミ地区(ヘルシンキの西隣エスポー市)にあるリータさんの住まいにお伺いするために、まず
は、ヘルシンキから新しい地下鉄に乗りました。

高窓には自然の森の風景を切り取るように見せ、銅板張りの天井との調和が図られていました。

建築かはアールトだけではありません。大学内の学生寮を囲む森の中に、シレン設計のチャペルがあります。
(1957 年築) 近代建築の中でも、著名な礼拝堂のひとつです。


2020 年2 月現在、修繕工事中で、まだ新しい写真はありませんが、チャペル内の設計は極めてシンプルです。
赤レンガと木造、黒の細い鉄材のベンチ脚のシルエットが整然と並んでいます。ベンチは黒。他に目立つ色彩は使用していません。