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フィンランドの建築と生活環境について
2019.9.19 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー、在フィンランド)
さて、冒頭の幸福度ランキングについて、私の北欧諸国寸評もお聞きください。
オランダでの驚きはメディアの報道力と透明性です。税金がどの様に使われたか、詳細な会計報告があり、誰にでも知る権利があります。汚職の出来ない仕組みと、それを担保する制度が確立されているので、政治への関心が高く、投票権の意義が理解されています。
4位のアイスランドについて、あまり詳しくないので、省略させてください。
前にもお伝えしたように、ノルウェイの刑務所にはびっくりしました。湖畔のログハウスに居住し、家族も同伴可能ということです。自律的な生活を実践しながら罪を償う仕組みということでしょうか?
デンマークは移民受け入れの大国で、自国民との平等性を重視する国だといえます。以前は、首都コペンハーゲンの繁華街に移民の犯罪が多く発生した地域がありました。その改善策として、広い公園を整備して、安全で安心な環境改善を進める中で、世界各地からの移民受け入れるにあたり、各国、各民族の文化を象徴するオブジェを公園に設置しました。例えば、タイ式ボクシングのリングがあります。タイ人の移民達が、誇らしげに指導している様子が想像されます。スペインからは闘牛の像、愛を世界へと掲げるスローガンと花束はイスラム諸国。日本人の大工が作った大凧形の滑り台があり、子供達に大人気です。このように、世界150か国のイメージオブジェがあり、その国の人々の名誉を尊ぶとともに協調を示しています。
有名な家具工場を訪問した時のことですが、移民労働者の姿が目立ちました。社長自らが語る企業哲学では、社員全員の給料は公平に同額で、残業もありません。社員の皆さんは穏やかな表情で歓迎してくれました。話には聞いていましたが、 実際に現場の空気に触れることができました。
スウェーデンは9位でしたが、移民への生活保障制度は非常によく整っています。以前耳にした話ですが、大規模な団地では、6室住宅と1室住宅の建築費の差はそれほど大きくないそうです。都心から離れた地域では部屋数の多いユニットが主流ですが、たとえ小家族でも部屋数の多い住戸をリーズナブルな価格で提供していると聞きました。
そして、幸福度連続首位のフィンランドです。
一例を紹介すると、仕事に失敗して倒産した場合、たとえ借金返済の期間中でも、一定レベルの生活を保証されています。一般的には、ゆったりした自然環境と自由を尊重する教育方針で、個性を育む教育方針があり、可能な限り試験を減らす中で、受験勉強不要の教育方針を作り上げてきました。
まあ、フィンランドの生活で、必ず幸せになれるとは思いませんが、多くの生活シーンにおいて、最小限のストレスレベルで調整出来る環境が整っていると思います。
コメント
ソニーさん、夏の水辺のサウナ小屋、湖面の静けさと長い夕陽の時間が蘇るようです。ストレスフルな日常を抱えていても、ここに来ることで、自然の一部に還元されるようです。6月の夏至祭を過ぎても、まだ日は長いし、ほぼ真横から差し込む光線で、風景も人もとてもドラマチックに映りますね。また、素敵な写真をお願いします。
それにしても、地球儀の緯度線上を移動すると、日本はスペイン-地中海-北アフリカに重なります。最近は異常気象が話題になりますが、北欧諸国って、かなり遠いところ。白夜やオーロラがあるわけだ。
(せきゆうこ・フィンランドフォーラム・コーディネーター)