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北欧社会の幸福度とは?

フィンランドの建築と生活環境について

2019.9.19 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー、在フィンランド)

1位:フィンランド 2位:デンマーク 3位:ノルウェイ 4位:アイスランド 5位:オランダ、2019年版の世界幸福度ランキング*です。前年に続きフィンランド、デンマークは上位をキープしています。(日本は前年から4ランクダウンの58位)

*国連の諮問機関「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が7年前からまとめている所得、自由、信頼、健康寿命、社会的支援、寛容性の6項目を幸福の主な指標として、世界156カ国を比較。

北ヨーロッパの国々は、イメージ的な幸福感だけでなく、色々な世界ランクで上位を確保しています。まず、定年退職しても仕事をする人は、殆どいないので、「天下り汚職」がありません。汚職に費やされる税金は、国民を貧しくする要因であるとつくづく思いました。また、「平等」の思想を基盤とする国家は、汚職のない透明な政治を保つことで、移民の受け入れも可能でしょう。単一民族国家といわれるフィンランドにあっても、「世界観」が育まれると感じます。

長年のフィンランドの生活で私が暮らしやすいと思うポイントは、心から落ち着ける自然環境に囲まれ、税金は高くても国民のために使われていること。確かな社会福祉制度の充実と社会インフラの整備により、安心な暮らしが保証されます。平均的な個人所得は高い方でも、貧富の格差が小さい国です。幸福度の指標の多くは、国家のGNP、労働時間、納税額と生活保証などは数値で測ることですが、「幸福感」は、お金では測れない部分が大きく影響しますので、幸福度というより、生活しやすさのランクと訂正するべきだと思っています。

実際にフィンランドに長く住んでいる私自身の経験を交えて、私の思いをお伝えしましょう。

新しい建物と森の風景が共存

都市周辺の宅地開発でも、日常的に散歩ができる森を残して計画されています。森が開けるところには、海辺や湖畔が広がり、水面に映る大空の美しさはとても印象的です。休憩所には小さなキャンプファイヤースペースがあり、薪も積まれています。誰でも、マイソーセージを持ってくれば、火を灯して、焼くことができます。好みの焼き具合にして、都会の中の自然環境を楽しみます。フィンランドでは、キノコやベリーは自由に摘んでよいのですが、森で楽しむ人々のマナーは確立されています。焚火の始末も!

住宅の広さは、落ち着きのある生活を提供してくれます。フィンランドでは、およそ10年ごとに建築デザインのトレンドが変化してきました。都市計画や再開発でも、計画の見直しがありますので、建築家にとっては、一種のやりがいがあるようです。最近の集合住宅では、屋根のスカイラインが斜めになっているものが多く、それまでの四角い箱形の建築と比べて、新鮮な空気が住宅地全体に漂いています。我が家の近くにもそんなアパートメントができました。外から観察すると、最上階(8階)は広いようです。まだここに入ったことがないのですが、通常は、最上階や地下階に、住人専用のトランクルームが配置されています。日本のタワーマンションと同じく、上階ほど販売価格も高くなっていきます。東京の高層マンションに入った時、中央部に吹抜がありました。排煙や避難のためでしょうが、上からのぞくと、かなり怖いと感じました。

住宅の広さは、落ち着きのある生活を提供してくれます。フィンランドでは、およそ10年ごとに建築デザインのトレンドが変化してきました。都市計画や再開発でも、計画の見直しがありますので、建築家にとっては、一種のやりがいがあるようです。最近の集合住宅では、屋根のスカイラインが斜めになっているものが多く、それまでの四角い箱形の建築と比べて、新鮮な空気が住宅地全体に漂いています。我が家の近くにもそんなアパートメントができました。外から観察すると、最上階(8階)は広いようです。まだここに入ったことがないのですが、通常は、最上階や地下階に、住人専用のトランクルームが配置されています。日本のタワーマンションと同じく、上階ほど販売価格も高くなっていきます。東京の高層マンションに入った時、中央部に吹抜がありました。排煙や避難のためでしょうが、上からのぞくと、かなり怖いと感じました。

フィンランドの森林植生の20%を占める白樺は、重要な森林資源の一つです。白樺に特有の「マハラ」と呼ばれる樹液は、健康食品として世界中に輸出しています。キシリトール(xylitol)は白樺などから抽出される天然成分に由来するもので、さわやかな甘さを感じます。糖分値が低いので、日本でもガムやキャンディーの甘味料などに使われています。自宅の庭には、建築以前から育っていた白樺をそのまま残しています。

フィンランドの森林植生の20%を占める白樺は、重要な森林資源の一つです。白樺に特有の「マハラ」と呼ばれる樹液は、健康食品として世界中に輸出しています。キシリトール(xylitol)は白樺などから抽出される天然成分に由来するもので、さわやかな甘さを感じます。糖分値が低いので、日本でもガムやキャンディーの甘味料などに使われています。自宅の庭には、建築以前から育っていた白樺をそのまま残しています。

キリスト教の洗礼を受けている人でも、宗教にこだわりのない人は多くいます。しかし、フィンランドの教会建築には、誰もが魅力を感じています。宗派を超えた静かな空気が漂っているからでしょう。左の写真の教会は、ノアの箱船の仕組みをイメージしています。「十字架」を表さない構想に、斬新しさを感じます。

キリスト教の洗礼を受けている人でも、宗教にこだわりのない人は多くいます。しかし、フィンランドの教会建築には、誰もが魅力を感じています。宗派を超えた静かな空気が漂っているからでしょう。左の写真の教会は、ノアの箱船の仕組みをイメージしています。「十字架」を表さない構想に、斬新しさを感じます。

湖の国フィンランドでは、湖畔や海岸沿いに「夏の家」を作るのが定番です。硬い岩盤の大地であり、地震も津波も無い環境が、天恵といえるでしょう。心身ともに十分な休息を味わえる環境として利用しています。湖畔に広がる夏の夕陽の美しさ、白鳥の一家が子供を伴って訪れる湖畔にいると、自分自身がその一部になってしまうと感じます。サマーコテージから望む夏の夜の空気が伝わるでしょうか。

湖の国フィンランドでは、湖畔や海岸沿いに「夏の家」を作るのが定番です。硬い岩盤の大地であり、地震も津波も無い環境が、天恵といえるでしょう。心身ともに十分な休息を味わえる環境として利用しています。湖畔に広がる夏の夕陽の美しさ、白鳥の一家が子供を伴って訪れる湖畔にいると、自分自身がその一部になってしまうと感じます。サマーコテージから望む夏の夜の空気が伝わるでしょうか。