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ムーミンは物語を愛するみなさんの心の中に!

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2018.12.6 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー、在フィンランド)

8月9日はムーミンの日。皆様ご存知でしたか?作者のトーベ・ヤンソンさん(1914-2001)の誕生日でもあり、昨年6月にはムーミン・ミュージアムもオープンしました。私のフィンランド便りで、しばしば話題にしてきましたが、この機会に改めてご紹介しましょう。

ムーミンの世界

フィンランドに興味のある皆様は、ムーミンの世界をよくご存じのことと思います。ムーミンの物語を通して、フィンランド人の暮らしの哲学にも、興味を感じられることでしょう。

ムーミンの住む環境(ムーミン谷)は森と湖に囲まれています。そこに都会の便利さはありません。日々の暮らしに足りない物事が生じることもあります。すると、ムーミン一家は、必要な物事を自分たちで補います。例えば、住む家が必要となれば森の木を伐ってDIYで家を建ててしまいます。フィンランドの日常生活において、実に多くの人達がDIYで自分の腕を磨き、感性を注いで家を建てます。度々ご紹介してきたように、車や機械の修理や改造もお手の物。もし一家に父親がいなければ、有志の男性で「貸し父親」なる団体が実在し家族の中に父親のいない子供達のために、子供と一緒に遊び回り、夕方になると子供たちを家まで送り返してくれます。

このように、ムーミンの世界が現実の社会にも反映されているのです。ムーミンは、ただのマスコットや可愛いだけのキャラクターではなく、人生の歩み方を教えてくれる先生として、社会的にも高く評価されています。そこに人気の秘密があるのです。

ムーミン誕生日を祝って!

最近は、ムーミン関連商品の選択肢が増えて、様々なムーミングッズをコレクションできる時代になりました。例えば、イッタラが販売するムーミン・マグは大人気です。この秋には、ムーミンの創作者トーベ・ヤンソン氏の生誕104年目にあたる8月9日を祝福して、アニバーサリー・ムーミン・マグが発売されました。その朝、ショップにはオープン前から行列ができました。希少価値のある限定版ムーミン・マグを手に入れようというマニアたちが、出勤前の朝6時頃から並んだそうです。

私はといえば、これ程まで加熱すると思わず、お昼頃にショップへ行ったのですが、すでに完売。全国のイッタラ・ショップでは、オープン2時間で完売してしまいました。「ムーミン・ヴィンテージ」としての価価値が上がることが期待されているでしょう。

(写真左)ムーミン誕生日の限定マグ。わずか2時間で完売! ひとつ30ユーロですが、当日でも倍以上の高値で売り切れました。他のムーミン・マグとまったく同じ形状ですが、絵柄がこの日だけの特別なものであり、どこか「戦略的な」ムーミン誕生日セールでした。(写真右)ムーミンバースデイ限定のマグでティータイムの一時。以前のマグデザインの中にも、ムーミンと仲良く夕日を見つめる絵柄がありました。いつ見ても、夕日のロマンは想像力が衰えません。その一方、数時間で売れ切れた限定マグをゲットした人は、10年後の値上がりを楽しみしているかもしれません。複雑な気分です。

(写真左)ムーミン誕生日の限定マグ。わずか2時間で完売! ひとつ30ユーロですが、当日でも倍以上の高値で売り切れました。他のムーミン・マグとまったく同じ形状ですが、絵柄がこの日だけの特別なものであり、どこか「戦略的な」ムーミン誕生日セールでした。
(写真右)ムーミンバースデイ限定のマグでティータイムの一時。以前のマグデザインの中にも、ムーミンと仲良く夕日を見つめる絵柄がありました。いつ見ても、夕日のロマンは想像力が衰えません。その一方、数時間で売れ切れた限定マグをゲットした人は、10年後の値上がりを楽しみしているかもしれません。複雑な気分です。

日本でも、ムーミン関連のイベントが開催されたと聞きましたが、フィンランドでは、限定マグカップ販売だけでした。ヴィンテージ品としての価値が上がりそうだというイメージを作り上げたようです。