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さらに「建築ブーム」

海辺のリゾートもブームに

2017.11.1 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー、在フィンランド)

今年も、フィンランドの短い夏は、夏至祭前の1か月間が最高でした。日照時間が精神面に及ぼす影響は強いと思います。長い冬の暗い毎日が続く生活も、4月の雪解け頃から徐々に明るくなります。この変化は、北欧人だけが経験することかもしれません。気温が暖かくなり始めるので、もちろん、肌で感じる変化もありますが、「日光」が与える精神的な影響はさらに強く、ちょうど5月から6月ごろです。気温はまだ18度以下と涼しいのですが、日照時間が毎日ぐんぐんと長くなることで、潜在意識の中に「強い希望」が生まれるのです。これは、人の顔の表情でも理解できます。フィンランド人は、夏と冬では別人みたい。それは、無口な人でも、お酒を飲むと活発に話し始めるのと似ているかもしれません。

そんな気候風土の影響もあり、北欧の建築物にとっては、高緯度地帯の極寒に耐えるという、大きな課題があります。HVAC (Heating, Ventilation and Air Conditioning)テクノロジーはもちろんのこと、インテリアと家具デザインなどの「住生活」に関する文化にも、大きなこだわりを感じます。エコロジカルな考えも定着しています。例えば、この写真。エクステリアとしてのコンクリート壁の代わりに、スチールメッシュに石を充填しています。重力式なのに移動可能で、コンクリートの硬さを和らげてくれます。高速道路の側壁として、崖崩れ防止にも採用されています。

建石詰めエクステリア壁!

石詰めエクステリア壁!

ハンコ(Hanko) 海辺のリゾート開発

前回お知らせした海岸都市ハンコのリゾートマンションですが、肝心の販売価格は居住面積により、以下の通りです。

65.5平米(約20坪) 455,225ユーロ(日本円で5,900万円)
86.5平米(約26坪) 596,850ユーロ(日本円で7,760万円)
116平米(約35坪) 772,300ユーロ(日本円で約1億円)

この価格にはローン利子が含まれていません。ローンで購入する場合は、銀行との契約によります。
おしゃれな屋内プールの会員権は12,500ユーロ(約160万円)でした。ただし、冬場は一般公開されますので、高いか安いか? いかがでしょうか。(1ユーロ=130円で計算)

最近の建築ブームについて、確実な意見を得ることができませんでしたが、個人的には、低金利ローンが主因の一つと思います。ローン金利は1~2%までです。1990年代初めに、日本のバブル経済が崩壊したころ、フィンランドの建築業界は大きな不況の真っただ中にあり、建築家もインテリアデザイナーも、仕事を失いました。「フィンランドには、新建築の必要性は消え去ってしまった。」と、彼らは話していました。それから、四半世紀、移民人口は増えていますので、住宅はもちろん、公共施設などのニーズが急激に増加しているのでしょう。いわゆる「バブル経済」の空気はありませんが、良い方向へ向かい、インフレ率2%台で推移しています。