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もう一度、その魅力を伝えたい!
2016.06.16 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー、在フィンランド)
好きな言葉はRakkaus.「愛」です。私にもRakkaus.があれば、政界の頂上まで登り詰めて、そのRakkausをばらまきたいと夢見るほど、素晴らしい言葉です。反対に難しいのはヘルシンキ市内にあるLönrötinkatuという名前の通りです。私には、一生かけても上手く言える自信はないです。日本人の苦手なLとRの使い分けと、さらに北欧言語によく出くわすöの発音は、10年以上の修業を要するでしょう。
フィンランドのアルファベットです。特徴的なÅÄÖは、基本的は、aとo発音なのですが、喉に何かが詰まったような、特殊なテクニックで、「ア」と発音します。
一般的に北国に住む人達は「大酒飲み」で有名で、チャンピオンの座に君臨しているのはロシア人です。これは私が70年代初期にフィンランドに来た時、パブのトイレで見かけた風景です。飲み過ぎて気分が悪くなって吐いていたのに、トイレから出ると、カウンターでまたビールの大ジョッキを買うのです。日本人にはとてもできないと驚きました。今日では、西欧文明圏の先端を行く文化を身に付け、洒落た料理とワインを楽しむ文化的なフィンランド人に変貌しました。
左はフィンランドデザイン界の巨匠、タピオ・ヴィルッカラのフィンランディアウオッカのボトル。右は新風を吹き込んだハッリ・コスキネン氏のデザイン。10年以上前にチェンジしました。ヴィルッカラのボトルは長く愛されていたので、巨匠のボトルがなくなるのは残念でした。しかし、現在フィンランドデザイン界のトップを走るコスキネン氏のデザインは氷のイメージを表現して、すがすがしさ溢れる、素晴らしいボトルに生まれ変わりました。アルコール度数は通常40%ですが、免税店では、時々80%のウオッカも見かけます。いったい誰が飲めるのかわかりません。ロシア市場への試みかもしれませんね。
45年もいますので、フィンランド暮らしにはまっていると思います。それでも理解できないことは、あえて言えば、電車の乗り方でしょうか。ヨーロッパ中はどこも同じですが、改札口も切符もなしで鉄道に乗れることは『不思議』でした。
そして、地方に限らず都心部でも駅舎は木造の一戸建てで、とても鉄道駅には見えませんでした。私にとっては、東京や大阪などの大都会の煩雑な忙しさから、一瞬にして飛び出したという印象で、素晴らしい心温まる風景でした。
夏になれば、木造駅舎の周りには花が咲いて、私には絶対に普通の家に見えます。こんな木造の鉄道駅舎がフィンランド中に点在しています。古い建物を大事にする気持ちから、鉄道駅としての寿命を全うした後には、市民に販売されます。古い建物を丁寧に修理して使い続け、たとえ時代が変わろうと、思い出はいつまでも残されて行くのです。千年先にも忘れずに、一緒に思い出とともに暮らせる、そんな環境作りの事例と思います。
日本人の敬意を表す言葉や態度ですね。フィンランドでは自由な話し方で、先生や上司をファーストネームの呼ぶのは当然です。初めは上司に対して堅苦しい気持ちでしたが、いつか慣れてしまいました。こんな習慣が身につくと、日本へ行った時に、上司に「オッス!」と言ってしまいそうで、絶えず気を使わなければならいような気持ちでした。道徳と社会的ルールを守っていれば、他はなんでもよいという自由さあります。
日本食かな? それと思いやりを感じる日本の文化は、やはり恋しくなりますね。思いやりの心をフィンランドで広げるということは、日本の精神のすばらしさをアピールすることになると思います。道端のごみを拾えば、新聞記事に載るかもしれません。