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アールトのヴィラ・コッコネンにて

アルバー・アールト設計のコッコネン自邸

2015.02.05 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー、在フィンランド)

食卓上方のトップライトから吊り下げられた3灯のランプは、アールトのオリジナルデザインです。以前、ここから侵入されて、3灯とも盗まれました。アールトのオリジナルは賊に狙われるほど価値が高いのです。結局、アンティークショップで同形ランプを見つけて、取り付け直しました。

食卓上方のトップライトから吊り下げられた3灯のランプは、アールトのオリジナルデザインです。以前、ここから侵入されて、3灯とも盗まれました。アールトのオリジナルは賊に狙われるほど価値が高いのです。結局、アンティークショップで同形ランプを見つけて、取り付け直しました。

プールのある庭の端からの眺め。水面に反射する風景は、アールト独特の建築手法です。日本建築の庭との関係にもつながるものがありそうです。右は、白い曲線が特徴的な玄関キャノピー端部のディテールです。

プールのある庭の端からの眺め。水面に反射する風景は、アールト独特の建築手法です。日本建築の庭との関係にもつながるものがありそうです。右は、白い曲線が特徴的な玄関キャノピー端部のディテールです。

建物の外壁も、アールトのユニークな特徴の一つ。4cmほどの細幅板をランダムに竪に張り、継ぎ目がアミダくじ状になっています。これを竹の節に例える人もいます。彼はイタリアと日本の文化にこだわっているところがあり、横にスライドするドア、竹を表した木の壁、波(フィンランド語でアールト)の形状を表現したカーブは、建築だけでなくプロダクトデザインにもよく使われています。

建物の外壁も、アールトのユニークな特徴の一つ。4cmほどの細幅板をランダムに竪に張り、継ぎ目がアミダくじ状になっています。これを竹の節に例える人もいます。彼はイタリアと日本の文化にこだわっているところがあり、横にスライドするドア、竹を表した木の壁、波(フィンランド語でアールト)の形状を表現したカーブは、建築だけでなくプロダクトデザインにもよく使われています。

このように、アールト建築の特徴は、年代による変化は多少ありますが、特徴的なディテールが繰り返し表現されています。企業のロゴのように、彼の建築であることが一目で判断できるわけです。

最近の情報を一つ。
女性ピアニストとオペラ歌手の男性の二人が、市の許可を受けて、コッコネン邸のゲストを受け入れています。夏場は6月から9月までオープンしており、予約も不要と思います。他の時期や時間帯なども、電話で希望を伝えると、コッコネン邸の玄関で歓迎してくれます。 案内見学の後、気が向けば、または希望が合えば、コッコネン作曲のオペラの一節をピアノ演奏に合わせて披露してくれます。素晴らしい体験でしょう。また、予約次第ですが、食事やカフェの接待も注文できます。サウナにも入ることができますので、サウナ小屋であれば、一晩宿泊もできます。時間をかけて、ゆっくりアールト建築を満喫できる方法といえるでしょう。
ヘルシンキにあるアールトの自邸と事務所の見学ツアーを比べて、ヘルシンキから30分の旅で訪れるコッコネン邸ですが、訪問者の数はそれ程多くありません。いつまでも続くとは分かりませんが、このような特別接待の可能性もあります。ぜひ、足を向けてください。