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海外情報 フィンランドフォーラム

ストックホルムファニチャー見本市リポート

ストックホルム家具見本市にて

2014.04.24 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー)

今年のストックホルム家具デザインフェアで目だった2つのトレンド

その1 使う楽しさを加えた「からくり仕掛け」
背を持ち上げて90度回転すると、椅子の向きを変えられる屋外用のベンチ。簡単な仕組みですが、使う楽しさを加えたデザインですね。

背を持ち上げて90度回転すると、椅子の向きを変えられる屋外用のベンチ。簡単な仕組みですが、使う楽しさを加えたデザインですね。

「円形からくり容器」の滑らかに磨かれた木の蓋は手触りがよく、蓋を回しながら開けると3回カチッと止まる仕掛けがあります。三重の入れ子式で、三つ目に一番大切なものをしまっておけば、すぐには見つかりません。そんな秘密っぽい使い方ができます。「思わず、さわってみたくなる。」そんな気持ちを誘いますね。

「円形からくり容器」の滑らかに磨かれた木の蓋は手触りがよく、蓋を回しながら開けると3回カチッと止まる仕掛けがあります。三重の入れ子式で、三つ目に一番大切なものをしまっておけば、すぐには見つかりません。そんな秘密っぽい使い方ができます。「思わず、さわってみたくなる。」そんな気持ちを誘いますね。

テーブルとその下の収納棚です。左上から、テーブル上の突起を回して、下の収納棚が浮かび上がってくる仕組みです。もちろん楽しいですが、そこまでの必要性はあるのかな?

テーブルとその下の収納棚です。左上から、テーブル上の突起を回して、下の収納棚が浮かび上がってくる仕組みです。もちろん楽しいですが、そこまでの必要性はあるのかな?

その2 オフィス内騒音防止と「マイスペース」に配慮する椅子やコンパートメントが目立ちました。
背の高い椅子で視線をシャットアウト。クライアントとの交渉に集中できる空間を椅子で演出。右は子供の遊び場など、様々な用途を連想させる椅子コンパートメント。

背の高い椅子で視線をシャットアウト。クライアントとの交渉に集中できる空間を椅子で演出。右は子供の遊び場など、様々な用途を連想させる椅子コンパートメント。

コンセプトを感じた椅子
このソファには新しい発見がありました。重厚な木を座布団の様なシェイプにして表面をとても滑らかに仕上げています。すわり心地も座布団のような不思議さを感じました。その柔らかな木の触感からは、何ともいえない自然さが伝わり、とても落ち着くソファでした。

このソファには新しい発見がありました。重厚な木を座布団の様なシェイプにして表面をとても滑らかに仕上げています。すわり心地も座布団のような不思議さを感じました。その柔らかな木の触感からは、何ともいえない自然さが伝わり、とても落ち着くソファでした。

捨てられる端材を集めて、太いゴムひもで連結しています。すわり心地はスムースで、思ったより椅子らしい感覚がありました。右は背板の上方からのアングル写真です。かなり大きなカタマリの端材がびっしり並んでいますね。

捨てられる端材を集めて、太いゴムひもで連結しています。すわり心地はスムースで、思ったより椅子らしい感覚がありました。右は背板の上方からのアングル写真です。かなり大きなカタマリの端材がびっしり並んでいますね。

左は複雑に絡み合わせたテーブルの脚。これもトレンドらしくて、数多く見られました。 右は、ちょっと違和感のある穴明きパネル素材の箱です。内部に、何かを吊るすフックがありました。意味が分からず、問い合わせてみたところ、木工工房で使う道具入れキャビネットという答えでした。

左は複雑に絡み合わせたテーブルの脚。これもトレンドらしくて、数多く見られました。 右は、ちょっと違和感のある穴明きパネル素材の箱です。内部に、何かを吊るすフックがありました。意味が分からず、問い合わせてみたところ、木工工房で使う道具入れキャビネットという答えでした。

壁掛けの小物戸棚の扉の素材は薄いベニヤ板です。ひねり加工で中が見える工夫が生きていました。

壁掛けの小物戸棚の扉の素材は薄いベニヤ板です。ひねり加工で中が見える工夫が生きていました。

針金を通した布にLED光を縫込み、布の動きと光を演出したアート作品は、室内に幻想を演出していました。空を駆けるドラゴンみたいです。

針金を通した布にLED光を縫込み、布の動きと光を演出したアート作品は、室内に幻想を演出していました。空を駆けるドラゴンみたいです。

昨年秋に、ヨーテボリ大学付属校であるSteneby学校の木工課で、武蔵野美術大学の十時教授と木工職人の須田氏を日本から招き、ワークショップの指導をしていただきました。20人ほどの生徒のうち、EU諸国からの留学生が15人と圧倒的に多いことに驚きました。オランダ、ドイツ、フランスの女性、アイルランド、スコットランド、フィンランド、ノルウェイ、そして東欧のチェコから。他には中国と南北アメリカからと、世界中から集まっていました。こんなところで勉強できたら、人生が楽しく変貌しそうな雰囲気でした。EUの国民は教育費が無料で、福祉国家の素晴らしさを感じます。以前はどの国の人も無料でしたが、数年前からEU圏外の留学生は有料になりました。
この大学からの展示を紹介致します。テーマは、必要のない素材に必要性を与える。興味深いエコ思想を原点とする素材を使ってデザインした家具を展示していました。

この作家は日本贔屓で、日本の伝統工芸の技を学ぶために、この秋から日本での修行を決意しました。やる気十分のピーター・オルソン君です。彼は椅子座文化圏では腰痛持ちが多いこと。医学研究結果の一つとして、正座は腰に優しい良い習慣であると発表しました。日本ファンのオルソン君は、床に座る座卓をデザインしました。天板の角度とランプの高さも調節できて360度回転する仕組みになっています。小さな座布団は葦で編みました。日本で売れそうな仕事テーブルですので、彼を応援してください。

この作家は日本贔屓で、日本の伝統工芸の技を学ぶために、この秋から日本での修行を決意しました。やる気十分のピーター・オルソン君です。彼は椅子座文化圏では腰痛持ちが多いこと。医学研究結果の一つとして、正座は腰に優しい良い習慣であると発表しました。日本ファンのオルソン君は、床に座る座卓をデザインしました。天板の角度とランプの高さも調節できて360度回転する仕組みになっています。小さな座布団は葦で編みました。日本で売れそうな仕事テーブルですので、彼を応援してください。

日本のお菓子の箱で、細い木材をつなぎ合わせて開ける蓋を見たことありました。とても興味深いデザインと思います。このキャビネット扉は、葦をテープ状に編み、素材の強靭さを活かしています。右は子供の遊び場としては落ちそうですが、ちょっとモダンな仕事テーブル? 作家不在で説明を聞くことで来ませんでした。

日本のお菓子の箱で、細い木材をつなぎ合わせて開ける蓋を見たことありました。とても興味深いデザインと思います。このキャビネット扉は、葦をテープ状に編み、素材の強靭さを活かしています。右は子供の遊び場としては落ちそうですが、ちょっとモダンな仕事テーブル? 作家不在で説明を聞くことで来ませんでした。

この大学の木工課の教授であるMATS ALDER氏の作品は、毎年、ファーニチャーデザイン社が商品化しています。今年の新作として、左側は、屋外用のメタル素材、右は皮素材の室内椅子です。

この大学の木工課の教授であるMATS ALDER氏の作品は、毎年、ファーニチャーデザイン社が商品化しています。今年の新作として、左側は、屋外用のメタル素材、右は皮素材の室内椅子です。

(写真左)nolaブースには絶えず多くの人が集まっていました。LEDの光るロゴは遠くからも目立ちます。車のランプから始まり、最近ロゴ看板にもよく使われるようになりました。(写真右)「薄さ」を強調した椅子とテーブルです。ラップトップ、携帯、テレビ、コップなど何でも薄くするとデザイン性が高まりますが、椅子も例外ではありません。

(写真左)nolaブースには絶えず多くの人が集まっていました。LEDの光るロゴは遠くからも目立ちます。車のランプから始まり、最近ロゴ看板にもよく使われるようになりました。
(写真右)「薄さ」を強調した椅子とテーブルです。ラップトップ、携帯、テレビ、コップなど何でも薄くするとデザイン性が高まりますが、椅子も例外ではありません。

手に触れるところなどに、熱伝導の小さいコルクを使ったカップとティーポットのセット。北欧的ですね。

手に触れるところなどに、熱伝導の小さいコルクを使ったカップとティーポットのセット。北欧的ですね。

リートフェルトのチェア模型から形状を変形して、長く、または、幅広気味にユーモラスな試みを加えたレプリカです。この作家は少し太り気味の体型でした。

リートフェルトのチェア模型から形状を変形して、長く、または、幅広気味にユーモラスな試みを加えたレプリカです。この作家は少し太り気味の体型でした。

(写真左)同じく、木そのままの色を残した試みです。(写真右)右の写真は、素敵なスタッキングに成功したスツール。

(写真左)同じく、木そのままの色を残した試みです。
(写真右)右の写真は、素敵なスタッキングに成功したスツール。

最後に、スウェーデンとフィンランドの違いはあるのでしょうか?

フィンランドのアールト大学から毎年ストックホルムのフェアに出展していますが、テーマは決まって椅子です。去年は木素材、今年は金属を使った椅子で、継続的な展示手法にも、成熟と落ち着きを感じました。また、余分な機能を削除して、シンプルさを強調するフィンランドのデザインと比べて、スウェーデンのデザインに微妙なギャップを感じ取りました。

サステイナビリティの普遍的価値を重んじたフィンランドのデザインの基本を感じさせるアールト大学のブースは、すべて余計なものを省き、白と黒でまとめています。デザインの思想が継承されていることが伝わってきました。参考までに、右側は、去年の木素材だけに集中した展示ブースです。

サステイナビリティの普遍的価値を重んじたフィンランドのデザインの基本を感じさせるアールト大学のブースは、すべて余計なものを省き、白と黒でまとめています。デザインの思想が継承されていることが伝わってきました。参考までに、右側は、去年の木素材だけに集中した展示ブースです。