よくあるご質問 INTERIOR FAQ

太陽光によるカーテンの色褪せや脆化について教えてください。

長く使用しているカーテンが色褪せてしまいました。どうしてでしょうか?

Answer

なぜ色褪せするのか

原因は、太陽光に含まれる紫外線によって、カーテンに使われている染料が光化学反応を起こすことが原因です。つまり、光に接した時から、色褪せは徐々に進行しているわけです。でも、全体にムラなく進行している段階ではわかりません。ところが、カーテンに縫製されて窓際につられると、谷の部分と山の部分で、光のあたり方に差が生まれてきます。窓際の山部分には大量の光があたり、色褪せも進みます。逆に谷の部分は陰になって、色褪せもそれほど進みません。こうして、色の差ができ、色褪せしていることが顕在化してしまうわけです。

使い方や素材によって変わる色褪せの進行状況

生地の色褪せは、素材の種類と、色、そして使用されている染料によって異なります。一般的にはポリエステルやアクリルの方が綿やレーヨンよりも、濃色の方が淡色よりも色褪せしにくいと言えます。染色方法では、染料を使用したものよりも、顔料を使用したもののほうが色褪せしにくくなります。ポリプロピレンや原着ナイロンは、この顔料を使っています。

■カーテン、カーペットに用いられる主な繊維素材の耐光性能と着色方法

繊維素材 着色方法 耐光性
色褪せの程度
(染色堅牢度)
その他の耐久性
綿 綿染め・糸染め・後染め 黄変、
強度低下あり
ウール 綿染め・後染め 紫外線で黄変、
強度低下あり
レーヨン 綿染め・糸染め・後染め 強度やや低下あり
ナイロン 原着・綿染め・糸染め・後染め 紫外線で黄変、
強度低下あり
ポリエステル 原着・綿染め・糸染め・後染め 強度低下少
アクリル(糸) 原着・綿染め 強度低下少
ポリプロピレン 原着 強度低下少

※原着→繊維になる前のドロドロに溶けている状態に、顔料を練り込んで着色する方法。原料段階から顔料によって着色するので、繊維の奥まで染めることができ、太陽光や塩素系漂白剤などの影響を受けにくく、褪色・変色しにくい。
※先染め→原糸の段階で染料によって着色する方法。染料を用いていることも、原着のものよりは褪色しやすい。
※後染め→カーテン布やカーペット原反など、生地ができあがった状態で染料によって着色する方法。先染めよりも褪色しやすい。

生地の色褪せは、耐光堅牢度という言葉であらわされます

生地の色褪せをみる目安として一般的なのが、JIS L 0842(カーボンアーク灯光に対する染色堅牢度試験方法)に基づいた等級です。

それぞれの生地の耐光堅牢度は、サンプル帳などに記載されています

耐光堅牢度に影響を及ぼす様々な環境

同じ耐光堅牢度の生地でも、場所や方角、つまり日照条件によって、実際の色褪せの状況は変わってきます。

■設計用全天空照

条件 全天空照度(lx)
とくに明るい日
(曇天、雲の多い晴天)
50,000 lx
明るい日 普通の日 暗い日 30,000 lx
15,000 lx
5,000 lx
非常に暗い日
(雷雲、降雪中)
2,000 lx
快晴の青空 10,000 lx

(出典:「建築環境工学」足立哲夫・他著 井上書院)

■日照時間の月別平年値

地点 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
札幌 106 124 168 198 221 205 194 184 184 167 115 96
金沢 64 88 146 181 213 160 180 212 151 150 118 78
東京 184 163 179 166 194 134 154 187 127 134 148 173
大阪 149 143 178 184 207 162 194 223 166 170 157 151
福岡 104 118 174 175 196 164 189 221 172 189 153 118
熊本 132 140 181 173 191 156 191 223 182 195 171 144
高知 197 181 203 181 188 150 189 213 171 187 185 193

(統計期間:1951年から1980年までの平均値/時間)(理科年表より抜粋)

時間によって脆くなっていく脆化

時間の経過によって、繊維の力が低下する現象です。これは、繊維の種類によって変わります。一般的には、天然繊維よりも合成繊維のほうが強く、天然繊維の中でもレーヨンよりも綿のほうが強く、合成繊維ではアクリルが比較的強いといわれています。もっとも、特殊な構成や加工を施した場合はこの常識があてはまらないので要注意です。耐光堅牢度のように、テスト方法が確立されていなく、目安となるデータのないのが現状です。

苛酷な使用環境でできること

色々な環境条件によって左右されますが、例えば、脆化しにくい合成繊維の中でも、色褪せに強いポリエステルやアクリルを選ぶという方法もあります。また、どうしても天然繊維をと言う場合には、脆化をさけるために、裏地縫製を施すのも対策のひとつです。