●お気に入りのラグ、デザインワークの秘密。 − ラグの造られ方がわかったところで、次は甲野さんの一押しラグなどについてお聞きしたいと思います。ラグは、いつもおしゃれなものが多いですが、今回は特に、“これ!これ!こういうのが欲しかった!”っていう感じのものがありますね。若い人たちにもうけそうですが。甲野さんの
一番のお気に入りはどれですか?
− デザインを考えるのには、時間はかかる方ですか? あまりかからない? 甲野氏 早いものなら、ピンとくれば10分でできあがります。長くかかるものももちろんありますけど。毎日みて、色をちょっとずつ変えてみたりしてたら、長くかかりますよね。 頭にカチッとひらめけば、5分で描けるパターンもあります。まぁ浮かぶまでが大変なんですけど。描くのは時間がかからない方です。花柄なんかだとバランスを見たりするので、その分時間はかかります。でも基本的に時間をかければ良いものができる・・・とは言い切れない。精密に色出しして、修正かけたのに、できあがったらロット差で“ああ・・こんなになっちゃった”みたいなものができあがったこともありましたから。こだわりが反映される場所では、こだわり、そうでない場所ではさくっといく、そういう感じでいくようになってきましたね。だから、パイル長、素材選びといった設計部分にはこだわってます。 − いろんな苦労を経て今に至ったのですね。甲野さんは入社して今年で5年目ということで、4年間ずっとラグをやってきているんですよね。大学では、染色とか織物をずっと勉強してこられたとか。生地には詳しいのですか? 甲野氏 そうですね。柄は描いてなかったですけど、絣(かすり)を作ったりしていました。 構造学的なことをやっていました。その織物をタペストリーにしたり、オブジェにしたりと、テクスチャーを考えるのが大好きです。今はカーペットやラグの担当で、あんまり関係ないんですけど、ジャカードとか生地をみれば、何層構造で柄を出しているとかいうのは解ります。 − 生地を見ていろんなことが解るわけですね。 甲野氏 昔は詳しかったです。耐久力とかわかりましたよ。洗うと縮んでしまうね、とか。この生地は安いとか。 − なるほど。頼もしいですね。では最後に、ユーザーの方にラグをどんな風にインテリアに採り入れて欲しいとか、そういう希望なんかはありますか? 甲野氏 いえ、本当に自由に使って欲しいです。個人の感性で、個性的なインテリアとして。 個人宅の写真集を見るのが好きなんですけど、そういうのを見ていると、みんなすごい自分のセンスでいろんなテイストを混ぜておもしろいインテリアを創ってるのがわかるんですよ。このカタログは、あくまで基本形。だから、ミックスはどんどん好きにやって、どんどん好きにラグを使って欲しいと思っています。逆にこのカタログ通りに落ち着いてまとめられるよりは、新しい感覚で使ってもらった方が感動します。 こういうのも有りか、という発見がある方が好きなんで。 − 今後の目標は何ですか? 甲野氏 現代の住宅にぴったりのサイズっていうのを今、模索しています。どういうサイズが必要なんだろうということを考えていて。今考えているのは、ベッドサイドに合うようなサイズ。独り暮らし市場で求められるのがそういう空間かなと。ベッドがある場所がリビングだったりしますしね。家族で住んでる場合でも、個室(ベッドルーム)はあるわけで、個室内のリビング空間にラグを敷くという感覚を普及させたいです。 そういうニーズにぴったりのサイズを探し当てて、開発していきたいです。
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