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2002年4月18日
『東リラグ&マット2002−2004』発売記念インタビュー vol2 |
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ラグ担当者の甲野氏に話しを聞く連載の第2回目です。前半は、新しいカタログのイメージカテゴリーごとに詳しい説明をしてもらいました。今回は、ラグができあがるまでのお話です。実際にデザインを担当する甲野氏ならではのデザイン秘話なども出てきます。 |
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●ラグができあがるまで。
− さて、ではラグができるまでの過程などを教えていただきましょうか。
甲野氏 デザイン画はほとんど社内でおこしています。6割くらいは僕が・・・。
− なるほど。けっこう多いですね。デザインソースは何ですか? アイデアの源はやはり秘密ですか?
甲野氏 いえ・・・。いろんなものを見るようにしています。映画などのインテリアも参考にはしますが、だいたいはどういうパターンを作ろうかと考えるので、生地のパターン集を見たり、動物図鑑なんかも見ますね。あとは、インターネットとか。かっこいいホームページは、色使い、画面構成、写真などがとても良いですから。そういうのは参考になります。
− インテリアのトレンドは気にしますか?
甲野氏 実際にお店を見て歩いて、流行りのインテリアに合うものを考えたりはします。“こういうインテリアにはこういうラグがいいかな”みたいな感じで。かっこいいインテリアのお店を見て、そこには無くて、でも合うというものを創るようにしています。
− 具体的にどんな感じでデザイン画を仕上げるのですか?
甲野氏 例えば、この『50's』のシリーズのTOR1207は、リピートでながーいパターンを描いていたんですね。50'sっぽいパターンを作ってみようと思ってやっていて、たまたまぱっとトリミングしてみたらそれがラグだった、という感じです。これは本当にぱっとできあがりましたね。即完成品、みたいな。
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− なるほど。パソコンで描くのですよね。色の組み合わせなどは、シュミレーションしてみたりしますか?
甲野氏 ものによっては手描きでデザイン画を描くものもありますけどね。パターンものはパソコンの方が後々の修正のことを考えると楽です。色に関しては・・・、このTOR1207は最初からこの色でいこうと決まってました。これは、本当にぽーんと決まりました。この色で描くまでに、知らず知らずのうちに何かあったとは思いますけど、デザインができた後で色をいじることはしませんでした。そういうのが、一番気に入ってたりしますね。好きな色合いっていうか。数パターン色出ししてから、色を決める場合もあります。
− 気に入ったデザインができて、次はどういう過程に進むのでしょう。
甲野氏 フックラグの場合は、テクスチャーを考えますね。シャギーがいいかとかループパイルにしようかとか、パイル長を考えたり。ものによってはどういう素材を使うかということを考えます。デザインは柄だけでなくて、どういう表情を出すかということも考えるわけです。
− 表情を出すにはどういう工夫をするのですか?
甲野氏 ラグの表情はパイルの長さ、パイルの素材、パイルの太さ密度で決まります。あと、パイルを構成する糸の色のミックスでも表情は変わってきます。糸のサンプルがあって、AとBと組み合わせて・・・という感じで見ていきます。このパターンにはシャギーが合うというように、ぴったり合うものが存在しますから。
− けっこう奥が深いですね。
甲野氏 深いですよ。緻密な計算というか、そういう糸の組み合わせでいろんな表情が作れるので、築き上げていかないとできませんね。絵柄だけを考えていればよいわけではないんです。プロダクトデザイナーは素材感までどうするかを考えないといけないです。
− デザインが決まって、糸が決まって、色が決まって、試作ですね。試作は何回くらいするものですか?
甲野氏 このTOR1207は一回です。一回で思った通りのものに仕上がってくる場合もありますし、何回も作るものもあります。
− ラグは手作業で織られるとお聞きしましたが?
甲野氏 フックラグはそうです。デザイン画をプリントアウトしたもので指示します。柄の形にフックガンでガガガガーと糸を打ち込んでいくというやりかたで織られます。手作業です。手間がかかって作られています。タフトラグの場合は、タフト機のコンピュータにデザインデータを入力して、デザインを自動的に織りあげます。
− で、製品ができあがってカタログ用の撮影ですね。
甲野氏 撮影は大好きなんですよ。今回なんかは、始めにインテリアイメージに合わせてラグを作っているので、撮影は楽でしたね。イメージができあがっていますから。
− 撮影用の家具なども指定するんですか? このラグにはこういうのを合わせてといったように・・・。
甲野氏 背景イメージみたいなものは撮影用セットのコーディネーターさんに伝えます。でもわりとおまかせしています。あと、遊んでくださいって言います。あんまり指定しない方がおもしろいものに出来上がりますから。自分が思いつかないようなことをコーディネーターさんがやってくれると、また新しい発見になりますしね。勉強になります。
次回が甲野氏へのインタビューは最終回です。お気に入りのラグや、今後どんなふうに仕事をしていきたいかなど、若きクリエイターの野望もかいま見られます。お楽しみに。 |
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