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2002年4月11日
『東リラグ&マット2002−2004』発売記念インタビュー vol.1 |
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4月10日にラグが発売されました。映画や雑誌で見るようなスタイリッシュなインテリアにつきものなのが、ラグではないでしょうか? ウッドフロアの広い部屋の真ん中に無造作に敷いてあるラグが無性にかっこよかったり、ぱっと目をひく斬新なデザインがアクセントになっていたり。
ラグは、空間をぐっとおしゃれな印象にしてくれるインテリア小物(大きいけれど)のようです。 東リ製品の中でも、おしゃれ度がぐんと高いラグ。そのデザインからカタログ作成まで、ラグのほとんどを担当しているのが、東リの若きクリエイター甲野氏。甲野氏にデザインソースやラグができあがるまでの過程、さらに今回発売のもので一押しの商品などについて語ってもらいます。 |
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3回に分けて連載しますので、楽しんでください。 |
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●新しいカタログのイメージ
− 今回のカタログは雰囲気がこれまでものとなんとなく少しちがっているような印象をうけますが。
甲野氏 そうですね。今回はラグ全商品をインテリアイメージ別にわけてカタログを作りました。そこが大きいポイントです。メーカーとしての考え方から作ると、製法別にカテゴライズするんですよ。織り方なんかで分類して、こういう製法ならこういうカテゴリーというのがあったのを、一旦全部くずしてイメージだけで集めてみました。そうすることで、まとまりがよくなったと思います。
− イメージ別に分けることにしたのはなぜですか? 確かにわかりやすいですよね。
選びやすいというか。
甲野氏 ラグはお店で売られているものです。お店で売られているものは、製法がどうこうという部分はお客様にはあまり気にされないようなのです。それにラグは、結局、“自分の部屋に合いそうだ”とか“こんな部屋にしたい”といったイメージで選ぶものですよね。だから、インテリアイメージ別にした方が伝わりやすいのでは、と考えました。
− 今回、『ジャパン』『50's』『スカンジナビアン』『テクスチャー』『キッズ』『アーバン』・・・といったカテゴリーが新しいものですが、こういうイメージに絞った経緯は何ですか?
甲野氏 海外トレンド情報、インテリア雑誌を見たりして、こういうイメージのインテリアが求められているということで選びました。
− では、ひとつひとつのイメージ別にお話を聞きたいと思います。まず『ジャパン』ですが。“禅”とかそういうストイックな感じをイメージしたデザインですか? 外人が好みそうな・・・。アジアン・テイストとも、ちがいますね。
甲野氏 禅はあまり意識していないですね。アジアン・テイストともまたちがいます。昔の日本の粋、みたいなものです。“和”という感じなんですけど、そのインテリアイメージも変化してきています。今後は、和テイストインテリアにもアクセント性が求められてくると思いますよ。少し前までは、シンプルで比較的“静”のイメージのものに人気が集まっていたんですけど、これからはもっとデザイン性の強いもの、アクセントになるようなものも良いと思います。例えば、TOR1201の波紋をモチーフにしたものなんか評判いいんです。
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− “和”でも、おとなしいものではなくて、アクセントとなるものがよいということですか。それはどういう傾向にあるといえるんでしょう?
甲野氏 イメージを求めてるという感じでしょう。波紋とか、波、とか、和のモチーフで大胆なものがうけるんです。考え方が江戸時代の唐紙っぽいんですね。これまでは、和風建築に使われていたイメージ、素材をそのまま持ち込んだものをそのまま使っていたわけですよ、障子みたいな格子柄とか畳のような質感のものなどを。それが、最近は、それらにプラスして、昔の文様やふすまの紙とかに描かれていたモチーフ、自然物をアレンジしてデザイン処理したという雰囲気のものがいいみたいですね。
− 昔の日本の粋な文様を現代のインテリアに持ち込んだ、という感じですね。次は、『50's』ですが。これは、ものすごくおしゃれですね。ミッドセンチュリーモダンなインテリアに合いそうです。
甲野氏 ちょっと懐かしさのあるレトロモダン調ですね。逆に若い人たちにとっては新鮮で、今とてもブームになっているデザインです。色使いも、少しくすんだような独特の時代感をもったもので、ぱっと目をひくけど、ド派手ではないというひねりがきいています。
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− でもけっこうインパクトがありますね。やはりラグはアクセントとして考えて選ぶ場合が多いものですか?
甲野氏 インテリアに馴染みやすいニュートラルなものもあって、そういうものを選ぶ方もいますし、アクセントとなるものを好む人もいますね。うちのラグは、どちらかというとアクセント性の強いタイプが多いです。価格もうちのものは安い商品が少ないので。
安いものは耐久消費財として選ばれることが多いので、背景と併せやすい、馴染みやすいものであることが求められる場合が多いです。
− なるほど。この『50'sシリーズは人気が出そうですね。わたしも欲しいです。
次は『スカンジナビアン』。こちらもおしゃれで惹かれますね。
甲野氏 『スカンジナビアン』のシリーズに入っているものは、スモーキーでソフトでクール、シンプルで大きいパターン、といったデザインのものです。フィンランドやスウェーデン、ノルウェー、あのあたりのデザインを意識したタイプです。
− 家具やインテリアもスカンジナビアン系のものはずっと人気がありますね。
甲野氏 そうですね。だから、インテリアイメージのテーマとして取り上げて、東リなりの提案をしてみようと思いました。
− TOR1211は、色もすごくきれいです。白い木の床に合いますね。カタログに載っている写真では、ソファの色とぴったり。
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甲野氏 まろやかなセージ色で、自然な感じですね。スモーキーでソフトでクールなやつです。
自分でもとても気に入っている商品の一つです。
− 甲野さんもお気に入りの商品なのですね。そして、次は『テクスチャー』というカテゴリーです。これは、どういうタイプですか。製法がからんできますか?
甲野氏 これらは、基本的に天然素材を使ったり、風合いに特長を持たせたタイプです。ここに入っているものたちは、テクニックの見せどころというか、作り方によって表情がいろいろになるということの結果ですね。パイルの長さや、その組み合わせ方で素材感を出したりという小技を効かせてます。
− 具体的にどういった部分ですか?
甲野氏 例えば。アクリル素材のものでも、パイル間にジュートを入れたりすることで全体が天然素材っぽい印象になったりするんですよ。見た目的にも、触った感じでも。踏んだときに少しジュートの硬さが感じられて、それが天然素材のもつナチュラルさをアピールしたりするわけです。そういうのが工夫ですね。
− 天然素材とか、ナチュラル感のあるものは人気ですか?
甲野氏 人気あります。今は、ナチュラルイメージは全盛ですね。
− インテリアにも合わせやすいですしね。みんなが好き、落ち着くといったイメージですね。次は、ずいぶん元気で賑やかな雰囲気ですが、『KID'S』。これは子供向けですね。
甲野氏 これはちょっと力が入っています。サイズ的にも柄的にもこれまでにうちで作ってなかったものです。うちで、というよりも他にないんじゃないかな。今、家具の売り上げでも子供用はダントツによいわけですよ。子供市場は伸びているといえて、需要がおそらくあるだろうと踏んでいます。ヒアリングに行った家具屋さんの話でも、売り
上げの1/3が子供向けのものらしいんです。そういう家具に合わせるためのラグが、実はあまり無いのです。
− 子供部屋用のラグ。おしゃれですね。時代はどんどん変わってきていることがわかりますね。子供サイズのラグだけど、でもデザインは大人も満足できるおしゃれなもの、というのがとても新鮮です。
甲野氏 狙ってもいい場所ですよね。リビングは住宅にはほぼ必ずひとつ場所としてある。そこがラグの置き場であったりします。子供部屋もお子さんのいらっしゃるご家庭ならだいたいありますから。
− デザインのポイントは何ですか?
甲野氏 玩具と内装の中間にあるような、オブジェっぽくしたいというのが一番です。子供子供したものがよいのか、否か。どういうものが求められるかは判定が難しいところですけどね。なにしろ、市場にはおそらく無いもので、新展開の製品なのでどうなるかはわからないですけど。
− 若い独り暮らし世代の人たちが欲しがりそうな雰囲気ですよね。ポップなデザインで、サイズ的にも独り暮らしの部屋にも良さそうですね。
甲野氏 そうそう。大人ブランドが展開する子供サイズの服を大人が買う、みたいなノリですね。TOR1224なんかは、本当に50'sっぽい家具なんかとあわせてもいいですしね。これは大絶賛の品なんですよ、実は。素材感もいいです。パイルも長くて、ボリューム感もあって。もっと大きいサイズで注文することもできますので、本当に大人の人がインテリアとあわせて使うということも可能です。
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− 次は『URBAN』。都会っぽいデザインですか?
甲野氏 色で集めたシリーズかな。色味的にシックというか、暗めの色合いのインテリアにも合うようなものといった感じです。デザイン性の強いものも・・・多いですね。家具を選ぶタイプもあります。その分、アクセントラグを探している方にはぴったりですね。需要はあると思います。
− TOR1242なんかは落ち着いた色合いとパターンのちょっと大胆な感じがいいですね。レトロな雰囲気も持っていて。デザインホテルのインテリアみたいなイメージで、すごくおしゃれ。
甲野氏 これもいいと思います。シンプルでわかりやすい。かっこいいですしね。
次回は、ラグができるまでのお話をご紹介します。デザイナーである甲野さんのデザイン秘話なども含めて、具体的にラグができあがるまでにどんな工程を経ているかがわかります。 |
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