carpet
- 東リファブリックフロア
- 犬や猫は、フローリングで滑ってケガをする恐れも…クッション性が高くてズレにくいタイルカーペットは足への負担を軽減し、ペット臭をやわらげる機能の商品もあります。
ペットと暮らす住まいのポイントを
ケーススタディでご紹介します。no.103
犬や猫と共に暮らすためのアイデア
「猫にとって、どれぐらいお家が広ければいいですか」という質問をよくいただきます。私は「猫にとっての広さは空間数」とお答えしています。では、お部屋が沢山あればいいのでしょうか。野生猫や外出自由の猫による生活範囲の広さに関しての話しはよく聞きますが、完全室内飼育の猫達の行動広さについての調査があるのか気になりますね。実は、一般家庭で室内飼育されている猫の行動範囲に関する研究は多くありません。
そこで、少し古い調査になりますがアメリカの研究者が自宅で行った猫達の調査で、興味深い報告があったのでご紹介します。
1996年のバーンスタイン氏とストラック氏の共同研究で、お二人のご自宅で完全室内飼育されている猫達が対象です。猫達が家の中で空間をどのように利用しているか、彼らの相互行動のパターンを観察した報告でした。ご自宅は10の空間(キッチンやユーティリティも含めた空間数)がある約120㎡の平屋で、対象の猫は避妊去勢済の4ヶ月から13歳までの14匹(オス7匹とメス7匹)でした。
ほとんどの猫が、利用している複数の部屋の中でお気に入りの場所を持っていて、また猫達はそのお気に入りを共有していました。猫達は平和に共存していて、基本的には単独で利用しており、一日の内で異なる時間で別の猫が利用する、ということがほとんどだったようです。つまり、時間差で場所をシェアしていたわけですね。
それぞれの猫が使用している部屋数については、10室ある中、平均的な行動範囲はオスで4~5室、メスで3~3.6室だったと確認されたそうです。部屋数が沢山あっても実際はそんな程度なのかと思いがちですが、各部屋に水飲み場や遊び場といった猫にとって必要なアメニティがあるなど、「質的に十分な空間が提供されていれば」という条件付きでしょう。
部屋(空間)数があればそれで良いわけではなく、猫にとって猫らしい生活行動ができるような「質」が要求されます。ここで考えるべき「質」とは、キャットタワーなどのアメニティではなく、猫にとってのその空間にある「意味合い」です。
猫は「狩り」「休息」「排泄」の行動を、それぞれ別々のエリアを使用します。ですから、本来は「狩り(遊び)」に適した空間と、「休息」に適した空間は分けるべきです。前回紹介したフランスの研究でも屋内は、ゆっくりする空間と遊びのある「エンリッチエリア」という2つの意味合いの空間が用意されていましたね。
空間に趣を持たせる工夫については、屋外との関係も含めて考えたいので、次回でお話ししましょう。
参考文献
Bernstein PL, Strack M:A game of cat and house: Spatial patterns and behaviour of 14 cats (felis catus) in the home. Anthrozoos 9, pp.25–39, 1996
profile
金巻先生(一級建築士)
一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。
犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。
著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。 ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。 H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」
「猫と暮らす住まいのつくり方」
ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!
「犬・猫の気持ちで住まいの工夫」増補改訂版
単なるペットのトラブル対策に終わらないしつけやトレーニングも踏まえながらのアドバイスが満載。
かわいいイラストも◎。 改訂版では、室内環境の意識が高まっている猫の情報と、東日本大震災で課題がみえたペット防災対策が増えました。彰国社刊 定価(本体 1,800円+税)
「ねこと暮らす家づくり」
猫の「あったらいいニャ~」に応えるための、賃貸やマンションでもチャレンジできる工夫を案内しています。
ワニブックス刊 定価(本体 1,300円+税)