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わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.109

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

自然換気と最新技術で守る、犬猫と暮らす停電対策

去年から今年にかけて、夏は猛暑が長く続き、生命の危機を感じる場面も増えています。犬や猫と暮らすご家庭では、エアコンをかけっぱなしにしていることも多いでしょう。しかし、この猛暑の影響で落雷も増え、停電が発生する可能性も高まっています。そこで今回は、室内の通気と室温の関係を整理し、停電時の備えについて考えてみたいと思います。

自然換気も利用した通気計画

住宅は簡単に言えば箱であり、その中で生活することで空気は次第に汚れていきます。湿気・臭気・二酸化炭素などの汚染物質を効率よく排出し、新鮮な空気を取り入れる「換気計画」は建物の計画段階で考えられています。近年は断熱性・気密性の高い住宅が主流となり、自然な空気の入れ換えが難しいため、24時間換気システムといった機械的な設備が活用されます。ただし、空気が入れ替わっていても、動いていなければ冷気が一部に滞り、効率的とはいえません。そのためシーリングファンやサーキュレーターで攪拌したり、窓を開けて自然換気を取り入れる工夫が大切です。この点については 第9回「夏場の健康的な室内環境づくり」 で紹介しました。自然換気とは「冷たい空気は低く、暖まると上昇する」という性質を利用する換気です。

空気のながれ-冷えた空気は低い所から入り、
暖かい空気は高い所へ流れていく

犬は人よりも快適温度が低いため、 第27回「犬の居場所と風の道」 では、室内での風の流れを考慮した場所の設定を提案しました。戸建ての場合であれば、直射日光の当たらない壁面の低い位置に小窓や通気口を設ければ、冷房効率を大きく損なわずに比較的温度の低い空気を取り入れられます。

涼風が通る小窓を配置した犬の居場所

停電時への自然換気とエアコン機能での対応

落雷による停電時にも、こうした自然な通気を確保しておけば安心につながります。犬や猫が留守番している場合、自ら涼しい場所に移動できることが重要ですが、低い位置に通気用の小窓の備えは、その一助となるでしょう。

さらにエアコンの選択も工夫できます。停電後に電気が復旧すると自動的に同じ設定で運転を再開する「オートリスタート(自動復帰)機能」付きのエアコンであれば、停電後の不安を軽減できます。新しく購入を検討されている方は、こういった停電対策機能がついてるかどうかもポイントにすることをお薦めします。

そして日中の日差しによる急激な室温上昇を防ぐ工夫も欠かせません。 第37回 第38回 では、室外や室内で冷やした空気を保ち、開口部の遮熱や通風を工夫する方法を提案していますので合わせて読んでみてください。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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    単なるペットのトラブル対策に終わらないしつけやトレーニングも踏まえながらのアドバイスが満載。かわいいイラストも◎。改訂版では、室内環境の意識が高まっている猫の情報と、東日本大震災で課題がみえたペット防災対策が増えました。

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  • 「ねこと暮らす家づくり」

    猫の「あったらいいニャ~」に応えるための、賃貸やマンションでもチャレンジできる工夫を案内しています。

    ワニブックス刊 定価(本体 1,300円+税)