carpet
- 東リファブリックフロア
- 犬や猫は、フローリングで滑ってケガをする恐れも…クッション性が高くてズレにくいタイルカーペットは足への負担を軽減し、ペット臭をやわらげる機能の商品もあります。
ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。
no.110
犬や猫のストレス回避
これまで、室内飼育における空気環境の重要性について、小窓などを活用した自然な空気の取り入れ方や流れに焦点を当ててお話ししてきました。完全室内飼育の猫にとって、窓から入る外気は、季節の移ろいや香りや音といった適度な刺激をもたらす重要な情報源となります。室内における空気の流れは、猫の健やかな生活に欠かせない要素です。触覚が優れている猫にとっては、その空気の状態によって“空間の見え方”が大きく変わると私は考えています。そこで、今回は、猫がどのように空間を認識し、その際に影響する湿度について考えてみたいと思います。
猫は、人とは異なるものの「見かた」をしています。猫の視力は、動くものを捉える能力に優れていますが、細かい形や遠くのものを見ることは得意ではなく、全体的にぼんやりと見えていると考えられています。これは、薄暗がりの中での待ち伏せの狩りでの、「動き」を最優先に発達した視覚のためです。さらに、鼻先から30cm以内は焦点が合わせにくいので、それより近いものには視線を向けようとしません。その代わりに大きな役割を果たすのが、あの立派なヒゲ、「洞毛(どうもう)」と呼ばれるものです。洞毛は全身にある毛と違って、神経に直結した特別な毛です。口元のヒゲだけでなく、眉の上、顎、そして前肢の手根球付近にも存在しています。猫は、この洞毛に触れる空気の振動や微細な接触から、足元の状況や障害物との距離を高度に把握しているのです。足下の床はボンヤリしか見えないけれども、床に触れた肉球と前肢にある洞毛から得た情報から、足下をしっかり「見て」いるので、細い通路も俊敏に歩けてしまうのです。周囲の壁や障害物との距離も、洞毛が感じ取った風の流れや空気の振動を手がかりに判断し、視覚情報と同じ経路を通って脳に伝えられます。
つまり、「目からのぼんやりした視覚情報」と「洞毛で受け取った空気振動情報」を組み合わせることで、猫は立体的な“環境地図”を脳内に描き、自分のいる空間を認識しているのです。しかし、ここで影響するのが湿度です。
「雨の日の猫は眠い」「猫が顔を洗うと雨が降る」と言われるのは、湿度が高いと洞毛に水分がまとわりつき、空気の振動を感じ取りにくくなるためです。湿度の高い環境は猫にとっては周囲が「見えにくい」状態となり、動きが鈍ったり顔をこすったりするのでしょう。湿度は人だけでなく猫の快適性にも大きく影響します。さらに、触覚が優れている猫が空間を「見る」ために、洞毛が働きやすい環境を保つためにも、室内湿度は45〜60%、目安として50%前後を維持することが理想でしょう。
profile
金巻先生(一級建築士)
一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。
犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」
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