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  3. 第37回 コンパニオンアニマル=伴侶動物

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.37

犬や猫と暮らすということ

コンパニオンアニマル=伴侶動物

最近はコンパニオンアニマルという呼び名もずいぶんと一般化してきましたが、1986年日本動物病院協会(現公益社団法人 日本動物病院福祉協会)が人と動物のふれあい活動=Companion Animal Partnership Program(CAPP)をスタートさせた頃には、「コンパニオンアニマル」という呼び名は違和感があり、一般的にはごく自然にペットと呼んでいました。

しかし昨今では「うちの子はペットでは無くて家族です」と言い直される方が増えています。「ペット」という言葉は、諸外国ではごく自然に身近な動物への呼称ですが、日本人にとって「ペット」という言葉は「一方的に可愛がるおもちゃのような存在」という印象もあり、「愛玩動物=ペット」といった認識を持たれているようです。

コンパニオンアニマル

  • 1. 人の身近で永い歴史を歩んできた動物
  • 2. そのことで、その動物の習性や行動が分かっているので、教育(しつけ)ができる
  • 3. 人と動物との共通感染症が解明されている
  • 4. 人との暮らしをすることで、幸せにすることができる
  • 5. 家族として正しい医療が受けられる  他

伴侶動物の役割

「ペット」に代わる言葉として「コンパニオンアニマル」を使おうと思っても、なかなか呼びにくいこともあって、最近では「伴侶動物」「家族動物」「家庭動物」という言葉で表現するようになりました。この表現からもわかるように、犬や猫を家族の一員として暮らしている方がどれ程多いかが伺われます。

しかし、盲目的な溺愛をしては、決して飼い主も動物も幸せではありません。あくまで犬は犬、猫は猫として理解し、人としての正しい愛情を各々に可能な限り注ぎたいものです。都市化の進む私達の社会で、動物たちの存在は、様々な場面でとても大切です。人の教育・福祉・健康においても大きな役割を果たしています。そして伴侶動物は人間の中にある優しさや思いやり、人間らしさを引き出す名手でもあるのです。

もちろん伴侶動物は犬や猫だけではありません。諸外国では馬を家族として暮らして乗馬を楽しむ人も多いため、病気治療などで入院させる大学病院などの設備も充実しています。他には山羊や羊、兎、モルモットたちも家族になります。

社会の一員としてのコンパニオンアニマル

私達にとって一番身近で代表的なコンパニオンアニマルは犬と猫です。犬や猫と暮らしている方に「貴方にとって犬や猫はどんな存在ですか?」と質問すると、ほとんどの方が「家族」と答えます。家族の一員だからこそ、飼い主は健康管理や教育(しつけ)や、その生涯の幸せ(福祉)を見守り、その生涯の責任を持たなければなりません。

考えてみますと、犬と猫はこれから永遠に人の社会でのみ生活していく動物となっています。そのような意味でも、犬と猫は既に人の社会の一員、各々の家庭の一人です。

適性があれば社会参加をするのは良いことです。聴導犬、盲導犬、介護犬など補助犬として働く犬もいます。また一般家庭の家族として暮らしている動物たちも適正があれば、社会の中で様々な働きが出来ます。

人と動物とのふれあい活動(CAPP活動)のように、飼い主と共に高齢者施設やホスピス、病院、学校などを訪問する犬や猫も多くなりました。社会参加する動物(家族)には、世界共通の基準があります。この基準が満たされた上で、各々の適正に合ったボランティア活動先を選ぶことが大切で、このことが守られてこそ各々の現場で願われる効果を生むことが出来ます。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)