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ストックホルムファニチャー見本市リポート

ストックホルム家具見本市にて

2014.04.24 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー)

ムーミン展覧会

その1 使う楽しさを加えた「からくり仕掛け」

今年はムーミンを描いた作家トベ・ヤンソンの生誕から100年を祝う年です。ヘルシンキ駅前のアテネウム国立美術館でトベ・ヤンソンの幅広い絵画作品と、彼女の名を世界に広げたムーミンの展覧会が開催されました。新聞紙上でも高く評価され、チケット売り場は長い行列ができるほど、フィンランドでも人気者です。海外でのムーミン一番人気の国はどこでしょう? そう、日本です。フィンランド人と日本人のメンタリティは似ていると言われますが、ムーミンの心を世界で一番理解している日本人と、心は結び合っているのでしょう。

トベ・ヤンソンとムーミンの関係は誰でもフィンランド人であれば知っていますが、国立美術館に吊り下げた巨大なトベ・ヤンソンの描いた絵画は、どれだけの人が知っているでしょう。

トベ・ヤンソンとムーミンの関係は誰でもフィンランド人であれば知っていますが、国立美術館に吊り下げた巨大なトベ・ヤンソンの描いた絵画は、どれだけの人が知っているでしょう。

トベ・ヤンソン女史は1914年に誕生、2001年にこの世を去りました。彼女は多才な芸術的感性を持ち、著作、絵画、哲学、そしてご存知のムーミンを描いた作家でした。芸術一家に生まれ、初めは絵画に熱中し、その豊かな感性は著作書に向かい、さらにムーミンを描くまでに発展してきました。
ムーミンの世界は、この世の孤独さ、満たされない心、酒におぼれて犯された人生、そして死を見つめる。大人の孤独な世界を描いているのです。ムーミンの世界は人生の哲学を語るおとぎ話です。
ヤンソンには婚約した相手はあったものの、いつも女友達とつき合っていました。芸術的な家風を受け継ぎ、最も集中したのは絵画でした。ヘルシンキの子供病院の壁に描かれた絵画作品のほか、幼稚園や小学校の壁には彼女の面影が今でも大事に残っています。
パリ、ストックホルム、ヘルシンキの芸術系の学校を卒業ましたが、彼女の創作活動は、深くフィンランド人の心を感動させ続けました。1980年代に日本のアニメ・プロダクションとの共同で、テレビ放映用にムーミン・シリーズのアニメを立ち上げました。フィンランドで人気のある子供番組の一つです。ヤンソンの描く原板オリジナルは、テレビで見るアニメとはかなり違っています。表情や背景にはフィンランドの厳しい冬が描かれ、子供にとっては厳しすぎる表現もありますが、日本で描かれたムーミンは優しさと穏やかさが加わり、可愛らしさを強調しています。

フィンランドの森を舞台にした色々なキャラクターたちもムーミン人気のひとつ。ミッドサマー(夏至の日)に種を植えると電気を起こす可愛いハッティファッテナース(英語)、ハッティバッテン(フィンランド語)が育つように、不思議な森の精や孤独なスヌフキン。それぞれのキャラクターには、哲学が隠されています。トベ・ヤンソン展はヘルシンキ展の後は東京と関西の美術館を巡回します。是非ともご覧ください。

トムーミンの本は45カ国に翻訳されて、世界中を回っています。読んだ事のある本がありますか。右の本は、ヤンソンのコミックストリップの最初に発刊されたものです。題はムーミンと世界の終りの物語。昔から世界の終りは、誰でも予測していたのですね。おそらく、トベ・ヤンソンも。

ムーミンの本は45カ国に翻訳されて、世界中を回っています。読んだ事のある本がありますか。右の本は、ヤンソンのコミックストリップの最初に発刊されたものです。題はムーミンと世界の終りの物語。昔から世界の終りは、誰でも予測していたのですね。おそらく、トベ・ヤンソンも。

コメント

充実したストックホルム家具見本市リポートでしたね。昔、大型フェリーに乗っていきました。同行する男子学生たちは、船内で飲み明かしていましたが、私は船酔いでふらふらでした。ガムラスタンには、お洒落な骨董カフェと日本料理店もありました。今度行くときには、スウェーデンの田舎にも行ってみたいです。よろしくお願いします。
ムーミン展覧会もいいですね。きっと日本でも大人気でしょう。何といっても日本人はムーミン好きですから。スナフキンも人気ですが、ちょっと皮肉なミーのキャラクターについても、次回に教えてください。

(せきゆうこ・フィンランドフォーラム・コーディネーター)