商品を探すProducts
デジタルブックDigital Book
ショールームShowroom
企業・IR・採用Company・IR・Recruitment
TOP > 海外情報 フィンランドフォーラム > お隣同士の微妙な関係
北欧三国のデザイン個性
2013.06.27 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー)
ヘルシンキから80km東方のフィスカースは、現在、100人以上の作家たちが集まる小さな芸術村です。水力発電の歴史を語る小川が流れ、森と湖に囲まれた自然豊かな環境にあり、夏はデザインフェア目的の観光客で賑わいます。反対に冬は雪に囲まれて、静かに芸術活動に集中する場になります。
次の写真は、フィスカースのデザイン展で見つけたサマーハウスの模型です。私は外国に住んでいて、このように、日本の伝統芸術と文化を尊敬する空気を感じるときに、日本人であることの誇りを胸に抱きます。
日本伝統がフィンランドの文化に融合して生まれる文化は、もっと広く世界へ広がっていくことでしょう。日本の美学は素晴らしいです。
フィンランド最大のチョコレート会社は【FAZER】です。第二次大戦後にフィンランドは産業立国を目指して、税制の優遇政策を掲げて国外企業を誘致しました。FAZER社はスイス系でありながら、フィンランドで成功を遂げた外資企業の事例です。チョコレート以外のお菓子も各種あり、Fazer Cafe も経営しています。FAZERの特徴は、添加物を最小限に抑えたうえで、深味のある天然ココアの風味が楽しめることです。面白いことに、昔から人気の高い商品に “Geisha Chocolate”があります。淡いピンク色のパッケージも日本をイメージするものです。
なぜ『芸者』という日本的なイメージなのでしょうか。戦後も、日本という国のイメージは『芸者』だけだったのでしょうか。実は、これはブランド・イメージを高める戦略なのです。もともとフィンランド人は日本に対して好感を抱いています。勤勉な国民であり、ドイツとは第二次世界大戦では同盟国でした。昔から日本への親近感があったと思われます。さらに、日本が日露戦争に勝利したことも影響して、1917年12月6日にフィンランドは帝政ロシアからの独立を宣言しました。ロシア革命の時代です。この歴史的な理由も大いに手伝って、日本に対する好イメージは「芸者」を通して増幅されています。
私の娘も子供の頃に、一度このコマーシャルフィルムに出演しました。このCFは常に日本的な雰囲気を表現することが制作コンセプトであり、今日でも優雅な着物姿のモデルが登場します。昔のCFでは、日本を知らないフィンランド人がフィンランド風にキモノを着て、奇妙な印象が残りましたが、今では日本人モデルも使っています。最近作は東京の桜の風景をバックに、日本の若いカップルがロマンティックな雰囲気でチョコレートを食べる。すると、その桜がフィンランドまでワープするというシーンがありました。純日本の背景でチョコレートブランドを創作しています。でも、芸者チョコの美味しさは、ヘーゼルナッツと控えめな甘さで、この味は昔から変わっていません。
コメント
6月ともなるとフィンランドはすっかり真夏の気分。学生は夏休みが始まるし、なんといっても太陽がほぼ一日中空にあるのですから。白夜の北極圏まで行かずとも、草花も野菜も動物たちも人々も、元気一杯にになって、森と湖に吸込まれていきます。サマータイムによる長い余暇時間を使って、家族総出でマイホームやサウナを自力で建てる姿が見られます。自然と一体のモノ作りの発想と体験は、試行錯誤の中から身についていくのでしょう。
さて、ファツェルチョコレート。なんと懐かしい響きでしょう! 私は世界のチョコレートの中で、Fazerブランドは日本製と並ぶ美味しさとクオリティーだと思っています。200グラムの板チョコシリーズは青・赤・黄・緑・こげ茶・紫がありました。マイフェヴァリットは黄色いナッツチョコ。空港の免税店には400グラムの特大サイズもあり、フィンランド土産にたくさん買いました。有名なベルギー製品より、美味しいと思うのですが。
(せきゆうこ・フィンランドフォーラム・コーディネーター)