海外情報 |
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2005.9.8
日本の竹
〜with フィンランド design スピリット〜 |
ソニー・ナカイ グラフィック・デザイナー |
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日本の皆様、こんにちは。8月の世界陸上大会で、街の様子が紹介されました。港町ヘルシンキの古い街並と石畳の坂道をまわるマラソン中継はいかがでしたか。さて、高校生活紹介の第二弾は長い夏休みを終えて、目下取材中ですので、今回は、ヘルシンキでの面白い展覧会をご紹介します。 |
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タケは元来、温帯地域の植物で(中国原産のイネ科で、孟宗竹や真竹はマダケ属)こちらには存在しません。日本国内でも、北海道の函館付近が最北限です。従来ヨーロッパで流通していた竹製品は、アジアやアフリカからの低価格輸入品に限られていましたから、竹は「安物」というイメージが一般的でした。
そこで「高級な日本の竹をイメージさせるデザイン創作」を目的として、竹によるプロダクトデザインの展覧会が、ヘルシンキのデザイン・フォーラム・センターで開催されました。数多くのゲストとともに盛大なオープニングで幕開け。デザイナー同士、気楽な和やかな雰囲気です。 |
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左は人気イラストレーターのペッカ・ブオリ氏。数年前に仙台のデパートでクリスマス・ポスター創作。サンタクロースの助太刀であるフィンランドの小人(トントゥ)を描きました。
右の写真はフィンランドデザイン界の重鎮、左からリトゥヴァ・プオティラ、シモ・ヘイッキラとカルヤライネン女史。リトゥヴァは自分で染めた紙を縒って作った紙紐(ペーパーコード)から様々なデザインで創作をしています。作品には壁掛タペストリ、バッグから、最近ではソファやクッショカバーなどもデザインし、染色の素晴らしさとデザインのシンプルさに驚きを感じます。日本の北欧デザインコーナーで彼女の作品を見かけることもあります。
中央のシモ・ヘイッキラは北欧の椅子デザイナーとして著名。座面の低い椅子で評判になっています。右のカルヤライネン女史はフィンランド国立近代美術館「キアズマ」の館長。右端の黒髪の女性はマリメッコを代表するファブリック・デザイナー。 |
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左のハッリ・コスキネン氏は、グラス、家具、ランプ、食器など多彩なプロダクト・デザイナーで、「イッセイ三宅」ブランドの腕時計デザインも手がけています。
右は、京都の北欧家具インテリアショップ「興石」のソレン・マッツ氏。京数寄屋の中村外二工務店と日本の茶室を世界各地で建てています。デンマーク人である彼は、北欧家具を日本で販売しています。 |
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左マルック・コソネン、右マルック・トンティラの両マルックは竹展に出品参加しました。コソネンは以前から「フィンランドの木以外は使わない。」と宣言していた頑固作家ですが、さすがに、「日本の竹には、挑戦してみたい。」とのことで、おもちゃのバッタを出展しました。子供時代を思い出すジャンプするバッタは、竹の皮をそのまま残して日本的な美意識を表現しています。
さて、この展覧会の興味深いコンセプトは、「自然環境の保全・育成」ということです。森林の中に竹が繁茂して日光をさえぎれば、他の植生が抑制されて潅木や下草が生長できません。動植物の食物連鎖も途切れて、森林は荒れてしまいます。成長の早い竹を伐採し、他の植生に生命力を分け与えることが重要です。
そこで、環境保全のために伐採した竹の製品化を目的に、建築材料としての使用やフィンランド・デザインを駆使した日用品、ランプ、家具など数多くの興味深い作品が展示されました。 |
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サニーフォークスと名づけられた作品と竹フォークの美しいシルエット
(ハンヌ・カホネン作) |
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右は日本の割箸からの発想を借りた、フォークとナイフもカホネン作。
緑色の皮をそのまま残したデザインで、左右対称形は接着で仕上げています。 |
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左は熱い揚げたての熱々天ぷらをのせて、日本料理の雰囲気を醸しだす盛り籠です。私は趣味で料理作りを続けていますので、オフィスではゲストを迎えた食事会もしばしば。特に天ぷらに似合う盛り籠がほしくて、竹を使い、シンプルな魚の骨みたいな形が生まれました。 中央のランプと右のデザート用ナイフ差はテーブルに置いておしゃれに。(3点ともソニー・ナカイ デザイン) |
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若手デザイナー、ミッコ・パーッカネン作の成型薄板のランプシェードと
カラフルなオブジェは鍋敷きにも。 |
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この「日本の竹」デザイン展は、来る12月に東京西新宿のパーク・タワー・ビル、インテリアデザインセンター・オゾンでも紹介いたします。読者の皆様、ぜひ、足をお運びください。 |
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フィンランドでしかお目にかかれない不思議なもの(その1)
高品質 フィンランド製 テルバ・シャンプー
テルバとはタールのことですが、言葉で説明するのは困難です。こげ茶色の色と匂いはタールそのもの。スモーク臭とい うか、焦げ臭いというか、初めて頭につける時は心配ですが、やはり使ってみなければわからないでしょう。泡立ちはすばらしく、爽やかな使い心地。髪が乾いた後も、ほんのりとタールの匂いが残り、自然感を楽しめます。 髪がスモークサーモンみたいな匂い、日本人にはちょっと意外な気分 |
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まさに、日本の竹とフィンランドのデザインスピリットの遭遇ですね。ヘルシンキの街角のカフェで、 お洒落な竹のフォークやスプーンでコーヒーブレークを楽しむ姿が、浮かんできます。素材は異なっても、 自然の中に存在する樹木と竹類。「たとえ使い捨てでも、自然に還るように、環境負荷の小さい商品を使う。」 自然環境保全という地球規模の共通理念も見え隠れしています。 |
(せきゆうこ フィンランドフォーラム・コーディネーター) |
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