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フィンランド最新住宅トレンド

ヴオサーリプロジェクトとタンペレ住宅フェア

2012.11.15 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー)

タンペレ住宅フェア

フィンランドの住宅フェアは6月中旬から7月の半ばまでの1ヶ月間、毎年候補地を選んで開催されます。既に25都市で実施されてきました。そもそもフィンランド人にとって一番人気のある見本市は、住宅関連です。住宅フェア、ガーデンフェア、そしてインテリアデザインフェアは、他の見本市に大差をつけて人気を呼んでいます。その理由は、新しい発想の暮らし方がリアルに体験できることです。エコ住宅設備、暖房エネルギー、ガーデンデザイン、インテリアデザインなど、衣・食・住の中で『住』を大事にするフィンランド人ですから、お国柄ともいえるでしょう。よい住宅を手に入れて、子供世代に財産として譲るという考え方もあります。
ですから、フェア開催の都市にとっては、その夏の観光客数の増加と都市のイメージアップに直結するので、各都市はフェアの誘致に力を注いでいます。今夏はタンペレ市で開催されました。ヘルシンキから北に200キロ、人口20万のフィンランド第二の都市です。
フィンランドは湖の多い国土で、ほとんどの都市は湖水に囲まれています。住宅フェアのために、候補となる都市は、最適な環境の土地を優先的に提供します。だから、湖と森に囲まれた環境に恵まれながらも、中心市街地から10分程度の湖畔の土地が、住宅フェア会場になるというわけです。
通常は50戸の賃貸から分譲高級住宅が建設されて、同時に販売されます。販売価格は、1平米あたり4000から5000ユーロ。世界中の住宅価格が暴落する中では、安定的に高価格を維持しているようです。

の日照時間が長くても、冬は暗い毎日が続き、気分の落ち込む人が多くなる季節です。 色や光の重要性が話題になる時季で、ここでもはっきりした色彩を使った住宅が目立ちました。

夏の日照時間が長くても、冬は暗い毎日が続き、気分の落ち込む人が多くなる季節です。 色や光の重要性が話題になる時季で、ここでもはっきりした色彩を使った住宅が目立ちました。

この住宅のリビングはモダンホワイトの空間に、モノクロームの家具がアクセントになっています。

この住宅のリビングはモダンホワイトの空間に、モノクロームの家具がアクセントになっています。

子供部屋の壁と天井も優しい白が基調です。中央の部屋では、壁自体が黒板になっていました。

子供部屋の壁と天井も優しい白が基調です。中央の部屋では、壁自体が黒板になっていました。

外部空間との連続性

住宅フェアではインテリアだけでなく、外部空間やガーデンデザインとのつながりも大切にされています。リビングルームからの眺めや庭との一体感は、土地の広さと隣家との距離感などとあわせてデザインされています。

庭とリビングの間にガラスパネルで囲われた屋根付のベランダがあります。 庭のウッドデッキに設置されたプールは、スライド屋根付でごみを防ぎ、保温効果も上がります。

庭とリビングの間にガラスパネルで囲われた屋根付のベランダがあります。 庭のウッドデッキに設置されたプールは、スライド屋根付でごみを防ぎ、保温効果も上がります。

2階の窓から眺めると、隣の庭まで視界が広がります。 フェンスを作らず、隣家の庭と一体の広さを感じます。 右は子供の遊び場の演出として、ブランコ、滑り台、砂場そして子供のログハウスまで、楽しさが一杯です。

2階の窓から眺めると、隣の庭まで視界が広がります。 フェンスを作らず、隣家の庭と一体の広さを感じます。 右は子供の遊び場の演出として、ブランコ、滑り台、砂場そして子供のログハウスまで、楽しさが一杯です。

この住宅の2階には、リビングからプールのあるバルコニーが広がります。

この住宅の2階には、リビングからプールのあるバルコニーが広がります。

隣の庭との間に生垣がありますが、樹木の成長はゆっくりですから、視線をカットするには10年くらいかかるでしょう。右は庭の温室に続く、芝生と石材の素敵な舗装路です。

隣の庭との間に生垣がありますが、樹木の成長はゆっくりですから、視線をカットするには10年くらいかかるでしょう。右は庭の温室に続く、芝生と石材の素敵な舗装路です。