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フィンランドって何?

もう一度、その魅力を伝えたい!

2016.06.16 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー、在フィンランド)

こちらもすでに夏が訪れました。気温は25度くらいで、明るく爽やかな陽射しが注ぎます。
このフィンランド便りも長く続いてきました。フィンランドと、もっと仲良くしていただきたいと思いますので、改めてこの国のことを紹介させてください。何回見ても見飽きない? 素敵な風景と魅力的なライフスタイルを!

フィンランドには、日本とフィンランドの間を取り持つ団体は数多く存在します。日本文化に対する興味が高く、日本企業の駐在員家族や日本、フィンランドそれぞれの企業関係者も、日本をもっと深く知るために会員になるからでしょう。地方の中心都市にもあり、その他にも日本伝統文化を対象とする団体も多いのです。
首都ヘルシンキでは4つの協会が活動していますが、中でも1930年代に創立した最も歴史の長い協会から、先日、以下の質問を受けました。日本人が抱くフィンランドの印象の参考になればと思い、私の回答を紹介します。

質問1) フィンランドで一番いいと思うことは?

住宅と居住環境ですね。宅地のまわりには、必ず豊かな緑の森がありますから。市街地の商業地区でも、大小の公園が点在して、緑の環境を大切にしています。落ち着きを感じて、集中力が向上します。そのせいか、ストレスが原因となる各種の症状などは一切なくなりました。

散歩道は、都市計画の上で重要なポイントになっています。一方、郊外では、水辺と島と森林帯をめぐるように海辺や湖畔に遊歩道が確保されて、国立公園にも指定されています。写真でも樹木の影が道に映し出されて、森と湖に囲まれて散歩する時間は、すがすがしい気分になります。

散歩道は、都市計画の上で重要なポイントになっています。一方、郊外では、水辺と島と森林帯をめぐるように海辺や湖畔に遊歩道が確保されて、国立公園にも指定されています。写真でも樹木の影が道に映し出されて、森と湖に囲まれて散歩する時間は、すがすがしい気分になります。

質問2) フィンランド人と日本人で共通していると思うところはどこですか?

昔から、フィンランド人と日本人はよく似ていると言われています。自然を愛し、シンプルな価値を大切にする民族性だからかもしれません。自然を愛し、社会の秩序を守る気持ちは確かに共通していると思います。
しかし、フィンランドは長い間、スウェーデン王国とロシア帝国の支配下にあり、独立国家になったのは1917年。まだ百年のことです。西洋文化圏にあり、基本的には個人主義。日常生活では、日本に通じる文化の下地はありません。

法律を遵守して社会が保たれるという法治国家の基本理念は個人主義の根本ですので、仕事上の『契約』は通常の行為です。日本デザイナー協会員のデザイナーからお聞きした話ですが、協会が契約書式を提供しているにも関わらず、実際に仕事の上で契約書を作成する会員デザイナーは3割くらいだと。西洋では、法律に基づく書面で信用しますが、日本では『心』で信じあっているのでしょうか。

また、北欧諸国の常として福祉制度が充実して、政治的にも貧富の格差を抑える施策が強いと感じます。世界レベルで見れば、汚職問題も最小といわれています。自然と社会の秩序を守る気持ちは確かに共通します。治安も良いとは思いますが、移民の増加にともなって不安定になってきているのが現状です。

質問3) フィンランド料理で一番好きなものは何ですか。

伝統料理の中ではカレリアパイです。小麦粉の皮で米のミルク粥を包み、高温のオーブンで焼いた上に、バターとゆで卵の刻んだものをのせて食べます。スナックの一種で、スーパーには各種の冷凍品が並んでいます。他にもフィンランドの伝統的な料理はいくつもありますが、これだというほどの印象の強いものは見当たりません。例えば、ミートボールはスウェーデン発祥の料理として、世界中にあるIKEAのレストランでもミートボール料理を提供しています。しかし、結局は肉団子ですから、どの国にも昔からある料理のような気がしてなりません。もちろん美味しいものは色々とあります。たとえば、ザリガニ料理、トナカイ料理、鮭のディル薄塩漬け、鮭の炭焼きも美味しいものですが、改めて聞かれると、はたして、フィンランド料理といえるのか? と考え込んでしまいます。

左はミートボールに甘い甘いベリージャムを添えたものです。フィンランドの森で見つけるクラウドベリーのジャムは定番。右はサーモンを薄塩で一夜漬けにして、ディルと粒塩で調味します。ディルは、北欧料理に特有のハーブで、特に魚との相性は最高です。

左はミートボールに甘い甘いベリージャムを添えたものです。フィンランドの森で見つけるクラウドベリーのジャムは定番。右はサーモンを薄塩で一夜漬けにして、ディルと粒塩で調味します。ディルは、北欧料理に特有のハーブで、特に魚との相性は最高です。

質問4) フィンランドで一番好きな季節はいつですか。またなぜその季節が好きなの?

これは簡単に答えられます。初夏にあたる5月下旬です。長くて暗い冬が続いた後で、日照時間は日々長くなり、花が咲き始めて、朝晩も暖かさを感じる頃。2か月半の長い夏休みが近づき、心からウキウキします。
しかし観光には7月をお勧めします。6月は、まだ肌寒い日々が続きますから。6月は結婚式の季節だし、下旬になれば日の暮れないミッドナイトサマーの行事があります。夏至祭から7月まで、本格的な夏の到来に希望を抱きながら、心がウキウキします。夢を与えてくれる季節であります。

質問5) フィンランドで最良と思う場所はどこですか。

湖畔です。何千もある湖のほとりに、あまたのサマーハウスがあり、そこで2ヶ月半の短い夏を過ごします。その間、街なかは東京のお正月みたいに静かになり、湖畔の村々は夏だけ人口が2〜3倍に増えるケースも多くあります。湖畔の生活とは、自然と触れ合うこと。電気の無いログハウスで薪割りや井戸水の調達など、都会では経験できない労働もやらなければなりません。でも、その後の素晴らしいサウナの一時、湖面に映る夕陽の美しさは自分だけの時空間です。また、DIYで家の修理をします。フィンランド人の多くは、建築知識と技術をもちあわせていますので、DIYで自分の家を建てる人達も多いです。すなわちフィンランドの夏休みとは、豪華ホテルやセレブ向けリゾート地ではなく、薪割りとベリーやキノコ狩り、サマーハウスの修理仕事をしながら、自然の中で自分の好きな様に暮らす『森の王様』になることです。誰にも気遣いなく、思った通りに自分の生活環境を作り上げ、自分の心の中で、誰にも迷惑の掛からない自由な森の王様になるのです。王様バンザイ!

左は5月15日の夜9時夜に撮影した夕陽の写真。こんなに日が長くなりました。最高! 自然の薪で熱したサウナの後は、水面の桟橋に掛かる夕陽を見ながら王様気分を楽しみます。フィンランドは王様になれる国なのです。

左は5月15日の夜9時夜に撮影した夕陽の写真。こんなに日が長くなりました。最高! 自然の薪で熱したサウナの後は、水面の桟橋に掛かる夕陽を見ながら王様気分を楽しみます。フィンランドは王様になれる国なのです。

薪割りは腰を痛めるほどの重労働。慣れないと危険も伴います。そこで、フィンランドの技術力で、こんな薪割り機を開発しました。適当な長さに玉切りした丸太を台にのせて、刃の方向へ割れるまで押し込む仕組みはシンプルで便利!簡単に安全に薪割りを楽しんでいます。

薪割りは腰を痛めるほどの重労働。慣れないと危険も伴います。そこで、フィンランドの技術力で、こんな薪割り機を開発しました。適当な長さに玉切りした丸太を台にのせて、刃の方向へ割れるまで押し込む仕組みはシンプルで便利!簡単に安全に薪割りを楽しんでいます。