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ゆとりの生活環境と最新の住宅フェアリポート

湖に囲まれるユヴァスキュラ住宅フェア

2014.10.16 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー)

北欧は高度な社会福祉としっかりした住宅建築で、生活水準の高い国々というイメージが浸透していると思います。確かに、長くて寒い冬を耐えるために、いろいろなところに工夫が見られます。二重窓は当然、三重窓もあり、厚い外壁とハイスペックの暖房設備、蛇口からはいつでもお湯が出ます。自然を身近に感じる住環境ですが、都市計画に沿った建築法規があります。広い土地を持っていても、市の許可を得なければ、自由に建てることはできないし、自分の好きな色や形にすることにも制約があります。

幼時から、住まい作りと手入れの基本を身につけているので、頻繁な模様替えや修繕を心がけています。これから家を建てようと考える人々にとって、夏に開催される住宅フェアは、新しい住まいのアイデアに触れる絶好の機会です。毎夏、私も不思議に思うほど、来場者でにぎわっています。

夏の住宅フェアのあと、9月にはヘルシンキでインテリア・デザインフェアが開かれます。さらに、造園ガーデニングフェアも大人気ですので、住生活へのフィンランド人の関心の高さには、いつも興味を感じています。

最近のトレンド

今年のフェアで気が付いたポイントは、例年よりも、さらにグレイ系の色調が基本となり、アクセントカラーが以前ほど主張していないことです。モノトーンの落ち着いたインテリア、そして外観は斜線を強調したデザインが目立ちました。東京でも、多くの新築住宅に見かけるようですが、世界的な傾向でしょうか。

グレイ系の外観色、斜線を強調した建物が目立ちました。周辺の街なみの集合住宅にも、斜線を意識したデザインが見られます。

グレイ系の外観色、斜線を強調した建物が目立ちました。
周辺の街なみの集合住宅にも、斜線を意識したデザインが見られます。

湖に囲まれるユヴァスキュラ住宅フェア

フィンランドの住宅フェアは、毎年、順番に各都市で開かれます。その仕組みは、4年くらい前に開催都市が決定して、全体の企画がスタート。まず、住宅の購入を予定している人(オーナー)が、デザイナー、設計者(アーキテクト)、建築会社(ビルダー)とチームを組み、一緒に建物とインテリア、造園まで計画を練り上げて、見積りを出します。一方、開催都市は計画に合わせて、一団の敷地を選びます。今回の敷地は湖畔と森林の一画を選び、約50戸の購入者が決まりました。それぞれのチームは、数年先の住宅フェアを目指して準備し、建設します。そして出来上がった50戸の住宅群を、約1か月のフェア期間中に、一般向けにオープン展示するというのが、住宅フェアの基本です。家具やインテリア調度品などは、デザイナーとビルダーの腕の見せ所。「完全オーダーメイドのモデルハウス展示会」といえるでしょうか。もちろん建設コストは、購入者の自己負担。敷地はフェアを開催する自治体が有償で提供しますので、その土地代も建設コストに反映されています。

住宅の購入者自身が参加して計画した家を、多くの来場者が実際に見て、評価してくれます。気にいった家を選んでもらい、それぞれの家の人気度を競うこともありますから、トップ人気住宅のオーナーにとっては、どれ程嬉しいことでしょうか。例外として、建築会社とフェア本部が協同で建てた住宅を、会期中に販売することもありますが、基本は購入者が自分のアイデアを盛り込んだ家つくりに参画し、そのプロセスを楽しむことです。

今年の開催地は、フィンランドの巨匠建築家でデザイナーでもあったアルヴァー・アールトの出身地ユヴァスキュラでした。大学都市としても知られる町で、アールト初期の建築作品が数多く残っていますし、彼の建築博物館もあります。「白」を生かした建築ファサードは、アールトに特有の技法の一つです。夏は森の緑を引き立て、冬は雪の白さと一体化して、北欧の自然環境に寄り添ってくれます。ユヴァスキュラは、首都ヘルシンキから約300キロ北にあり、多くの湖が中心街を囲み、湖畔の風景に似合う建築を多く見かけます。この湖水都市の一画に、新たに50戸の住宅が建てられました。