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木造駅舎で快適生活

伝統と文化を受け継ぐ

2013.12.12 / ソニー・ナカイ(グラフィックデザイナー)

ヘルシンキの骨董屋でみつけました

(写真左) 左はヘルシンキのエイラ地区で見つけたアンティーックショップの看板。切り抜きがお洒落ですね。(写真中央) 百年前の電気のない時代の生活では、必ず各部屋に薪の暖炉、台所には調理用の薪ストーブがありました。これは効果的に部屋を暖め、料理もできます。パン焼きオーブンと水を入れて沸かすタンクも付属しています。昔のアイロンはストーブの上に二分ほど置いておくだけで、アイロン掛けができました。まさに万能の家庭ストーブでした。一家団らんのリビングには、彩色の陶器タイルで装飾された豪華な暖炉が、生活の一部のインテリアとして使われていました。(写真右) キャンドル消費が世界で一番のフィンランド。長く暗い冬には、窓辺にキャンドルを置くと、冷たい外気の中でも穏やかな暖かさが想像できます。昔ながらの形で、サンタクロースも使っていたキャンドルスタンドです。

(写真左) 左はヘルシンキのエイラ地区で見つけたアンティーックショップの看板。切り抜きがお洒落ですね。
(写真中央)百年前の電気のない時代の生活では、必ず各部屋に薪の暖炉、台所には調理用の薪ストーブがありました。これは効果的に部屋を暖め、料理もできます。パン焼きオーブンと水を入れて沸かすタンクも付属しています。昔のアイロンはストーブの上に二分ほど置いておくだけで、アイロン掛けができました。まさに万能の家庭ストーブでした。一家団らんのリビングには、彩色の陶器タイルで装飾された豪華な暖炉が、生活の一部のインテリアとして使われていました。
(写真右) キャンドル消費が世界で一番のフィンランド。長く暗い冬には、窓辺にキャンドルを置くと、冷たい外気の中でも穏やかな暖かさが想像できます。昔ながらの形で、サンタクロースも使っていたキャンドルスタンドです。

現在、フィンランドでは建築高層化計画が進行中です。ヘルシンキの国際見本市会場の隣には、まもなく高層ホテルの工事が始まります。フィンランド第二の都市タンペレでも、すでに高層ホテルが着工しています。人口550万人の小さな国フィンランドでも、北欧での高層建築都市への仲間入りを目指しています。
近代的な都市景観への変貌が進む中でも、ヘルシンキ中心街には、古い住宅建築が保存されて、歴史を物語る建物には多くの人々が暮らしています。一般的に、ヨーロッパの古い都市はその中心街に「古都」があり、モダンなマンションやビル建築は郊外の都市計画地域に建てられています。
ヘルシンキの古い街並みで見つけた骨董屋には、70年代フィンランド家具がノスタルジックな感傷に包まれて、値札を下げていました。レトロな品々からは、昔の生活の空気が伝わってきます。その国の歴史文化を想像しながら、時を忘れて飽きることなく眺めていました。日本の皆様にも、ご紹介しましょう。

アルヴァ・アールトは陶器もデザインしていました。右のティーテーブルはベッドサイドにぴったり。

アルヴァ・アールトは陶器もデザインしていました。右のティーテーブルはベッドサイドにぴったり。

左は1980年代のイルヨ・クッカプロの椅子。グラフィックデザインナーとのコラボでグラフィック効果の高い椅子です。彼はフィンランドデザインを60年代から立ち上げてきた一人として、今も高く評価されています。美術大学の教授を勤めて、現在、大学で教鞭をとっている立場の人材を多く育てました。右は同じくクッカプロのリビング・チェアです。

左は1980年代のイルヨ・クッカプロの椅子。グラフィックデザインナーとのコラボでグラフィック効果の高い椅子です。彼はフィンランドデザインを60年代から立ち上げてきた一人として、今も高く評価されています。美術大学の教授を勤めて、現在、大学で教鞭をとっている立場の人材を多く育てました。
右は同じくクッカプロのリビング・チェアです。

70年代デザインの椅子です。モダンですが、懐かしい。

70年代デザインの椅子です。モダンですが、懐かしい。

これは1980年代の椅子。実用性はありませんでしたが、一枚の素材から作るというアイデアを形にしました。マットレスに包まれた椅子は、騒音から守ってくれて、自分の空間を大事にできました。

これは1980年代の椅子。実用性はありませんでしたが、一枚の素材から作るというアイデアを形にしました。
マットレスに包まれた椅子は、騒音から守ってくれて、自分の空間を大事にできました。

鉄板加工の椅子と洗面器台は、楽しいインテリア空間を演出できそうな骨董品です。右側の椅子は、昔からの定番椅子ですが、このフォルムが原点になって、新しいデザインが多く生まれてきました。左の可愛い椅子は、フィンランドでも人気の【KAWAII】コレクションの演出にもってこいですね。

鉄板加工の椅子と洗面器台は、楽しいインテリア空間を演出できそうな骨董品です。
右側の椅子は、昔からの定番椅子ですが、このフォルムが原点になって、新しいデザインが多く生まれてきました。左の可愛い椅子は、フィンランドでも人気の【KAWAII】コレクションの演出にもってこいですね。

針金細工のボトルラックと針金編みのアイロン置き台。このテクニックで色々な新しいデザインが生まれそうです。アイロン台は魚の楽しい雰囲気を伝えてくれるので、レストランの洒落た看板になりそうな気がします。

針金細工のボトルラックと針金編みのアイロン置き台。このテクニックで色々な新しいデザインが生まれそうです。
アイロン台は魚の楽しい雰囲気を伝えてくれるので、レストランの洒落た看板になりそうな気がします。

(写真左) 左は昔の食器戸棚ですが、モダンなインテリアに改修して、昔の家具が合わなくなると、別荘で使われることが多いようです。このように、白樺材で丁寧に作られた家具も、現在は売れないので、メーカーも生産中止です。今では懐かしい思い出になってしまいました。そんな意味でも価値ある家具です。(写真右) 木馬は、北欧の子供達が必ず遊んだものです。勇敢にまたがり、元気に揺らして遊んだのでしょう。大人たちにとっては、多くの思い出がぎっしりと詰まった遊具です。宝箱にも子供時代の夢が詰め込まれています。

(写真左) 左は昔の食器戸棚ですが、モダンなインテリアに改修して、昔の家具が合わなくなると、別荘で使われることが多いようです。このように、白樺材で丁寧に作られた家具も、現在は売れないので、メーカーも生産中止です。今では懐かしい思い出になってしまいました。そんな意味でも価値ある家具です。
(写真右) 木馬は、北欧の子供達が必ず遊んだものです。勇敢にまたがり、元気に揺らして遊んだのでしょう。大人たちにとっては、多くの思い出がぎっしりと詰まった遊具です。宝箱にも子供時代の夢が詰め込まれています。

(写真左) 鏡の厚い額縁に取付けられたキャンドルスタンドは、いかにもヨーロッパ王朝時代のシンボルです。(写真右) 典型的なヨーロッパ古典スタイルの椅子。

(写真左) 鏡の厚い額縁に取付けられたキャンドルスタンドは、いかにもヨーロッパ王朝時代のシンボルです。
(写真右) 典型的なヨーロッパ古典スタイルの椅子。

昔の暮らしを語る道具類。左から、昔のチーズ製造に使われた木製容器。中央は懐かしさを感じる革製肘掛付きスツール。そして、右は昔から使われていたジャガイモ入れの持ち手付木桶。このような昔のものから、新しい発想が浮かんできます。最近は、多くのデザイナーが昔のフォルムを見直して、新しい発想の源にしています。

昔の暮らしを語る道具類。左から、昔のチーズ製造に使われた木製容器。
中央は懐かしさを感じる革製肘掛付きスツール。
そして、右は昔から使われていたジャガイモ入れの持ち手付木桶。このような昔のものから、新しい発想が浮かんできます。最近は、多くのデザイナーが昔のフォルムを見直して、新しい発想の源にしています。

写真中央のイッタラのガラスと陶器作家のシンプルな線描で鳥をイメージしたガラス作品があります。その原点を左の鉄板細工の鳥に見つけました。右の鶏オブジェもガラス素材が魅力です。

写真中央のイッタラのガラスと陶器作家のシンプルな線描で鳥をイメージしたガラス作品があります。その原点を左の鉄板細工の鳥に見つけました。右の鶏オブジェもガラス素材が魅力です。

コメント

木造の駅で暮らすなんて、鉄道好きにはたまらないでしょうね。日本でも田舎の古い駅は木造で、待合室にストーブがあったような記憶があります。津軽半島のストーブ列車も人気ですが、都心部の駅はすっかり変わってしまいました。いまや駅舎はショッピングセンターやミュージアムそのものです。
その中で、東京駅の丸の内口だけが、文化財として修理されました。格調高い東京の玄関口でしょう。また、ヘルシンキに限らず、骨董屋めぐりは楽しいものです。古美術品でなく、生活雑貨や民具、リユース品まで、昔の良いものは捨てないで使いたいですね。

(せきゆうこ・フィンランドフォーラム・コーディネーター)